セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胃・十二指腸(H.pylori 2)

タイトル 消P-323:

当科における消化管MALTリンパ腫の患者・臨床背景

演者 池淵 雄一郎(鳥取大・機能病態内科)
共同演者 八島 一夫(鳥取大・機能病態内科), 斧山 巧(鳥取大・機能病態内科), 川田 壮一郎(鳥取大・機能病態内科), 澤田 慎太郎(鳥取大・機能病態内科), 今本 龍(鳥取大・機能病態内科), 林 暁洋(鳥取大・機能病態内科), 武田 洋平(鳥取大・機能病態内科), 安部 良(鳥取大・機能病態内科), 松本 和也(鳥取大・機能病態内科), 河口 剛一郎(鳥取大・機能病態内科), 原田 賢一(鳥取大・機能病態内科), 村脇 義和(鳥取大・機能病態内科)
抄録 【目的】当科におけるMALTリンパ腫症例について患者・臨床背景について検討を行った.【対象と方法】1994年4月-2013年2月に組織学的にMALTリンパ腫と診断された20例を対象とし,年齢,男女差,観察期間,生活歴,癌既往歴,癌家族歴などの患者背景と,内視鏡像,H.pylori感染の有無,治療法などの臨床背景について検討した.【結果】患者背景:発症年齢は平均65.4歳(41-80歳),男性3人/女性17人であり,やや高齢で女性に多い傾向にあった.20例の内訳は,胃MALTリンパ腫が17例,直腸2例,十二指腸1例であった.平均観察期間は5.2年(0.3-11年).癌既往歴ではMALTリンパ腫診断前に胃癌で手術された症例を女性2例に認めた.癌家族歴は62%に認め,胃癌家族歴は20%であった.生活歴では喫煙歴を男性2例に認めた.臨床背景:API2-MALT1染色体の転座は15%に認め,H.pylori感染陽性例は79%であった.内視鏡像はerosion 6例,IIc like 3例,discolored areas 3例,ulcer 3例,SMT 3例であった.Lugano分類にてstage I:90%,II:5%,IV:5%であった.背景胃粘膜は全てclosed typeであった(木村・竹本分類).H.pylori感染陰性例も含め95%に除菌治療が施行されて た.除菌治療のみでCRとなった症例が58%,SD症例が21%,除菌+放射線療法施行されCR症例が11%,除菌±化学療法+放射線療法でPR症例が11%であり,現時点では死亡例を認めていない.除菌治療のみでCRとなった症例はいずれもH.pylori感染陽性例であり,H.pylori感染陰性例ではSD維持または追加放射線療法を行っている.また,診断前に胃癌既往を10%に認めたが,診断治療後の経過中には胃癌を発生した症例は認めなかった.【結論】当院におけるMALTリンパ腫の現状を検討した.治療経過は概ね良好であるが,今後も長期間経過をみていく必要がある.少数例の検討ではあるが,癌家族歴があり・喫煙歴がない高齢女性がリスクとなる可能性が考えられた.
索引用語 MALT, H.pylori