セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胃・十二指腸(H.pylori 2)

タイトル 消P-324:

H. pylori除菌後胃癌症例における除菌後血清抗CagA抗体価の推移

演者 兒玉 雅明(大分大・消化器内科)
共同演者 村上 和成(大分大・消化器内科), 沖本 忠義(大分大・消化器内科), 塩田 星児(大分大・消化器内科), 小川 竜(大分大・消化器内科), 山内 美佳(大分大・消化器内科), 平下 有香(大分大・消化器内科), 松成 修(大分大・消化器内科), 綿田 雅秀(大分大・消化器内科), 水上 一弘(大分大・消化器内科), 中川 善文(大分大・消化器内科), 藤岡 利生(大分大・消化器内科)
抄録 【目的】 胃癌発症にCagAが大きな役割を果たすことは明らかとなっている.近年H. pylori除菌後胃癌の危険因子が検討されてきたが,除菌後血清抗CagA抗体価推移を解析し除菌後胃癌におけるCagAの関与,除菌後胃癌高リスク群が選別可能かを検討した.【方法】当院にて1988から2010年までにH. pylori除菌治療成功後に認めた除菌後胃癌17例において,血清学的抗H. pylori抗体価(栄研化学),抗CagA抗体価(Genesis Diagnostics)の除菌後推移を測定し非胃癌群と比較検討した.また東アジア特異型CagA抗体を用いて免疫組織学的に上皮内外のCagA発現の有無を検討した.【成績】除菌後胃癌群(A群)17例(男14例,女3例,平均年齢61歳), 非胃癌群(B群)22例(男15例,女7例,平均年齢59歳)を対象.A, B群の除菌前抗CagA抗体価の中央値は6.35 vs. 7.31 (P=0.46), 除菌0.5-2年後は2.8 vs. 0.74 (P=0.17), 2-5年後は0.4 vs. 0.81, 5年以降は0.26 vs. 0.81であり,除菌0.5-2年後にA群にて高値であったが,いずれの時期も有意差を認めなかった.A, B群の除菌前抗HP抗体価の中央値は37.0 vs. 25.14 (P=0.50), 除菌0.5-2年後では10.8 vs. 3.82 (P=0.07), 2-5年後では7.4 vs. 2.9, 5-13年後では1.67 vs. 3.33であり,いずれの時期もAB群間に有意差を認めなかった.抗CagA抗体の免疫組織学では両群とも全例除菌前陽性であり,除菌後は上皮表層の発現消失をみた.しかし両群とも少数例において上皮内に発現が一部に見られた.【結論】除菌後胃癌群での抗CagA抗体価推移からCagAの除菌後の影響は確認できず,除菌時既に胃癌発症もしくは他因子関与の可能性が示唆された.しかし,除菌後早期で若干抗体価高値であり,除菌後免疫組織学的に上皮内のCagAが認められ,除菌後胃癌でのCagA関与に関して今後症例の蓄積による解析必要性が考慮された.
索引用語 H. pylori, CagA