セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胃・十二指腸(H.pylori 3)

タイトル 消P-328:

性差からみた,バングラデシュ人,ネパール人(南アジア)の腺萎縮,腸上皮化生-日本人(東アジア)との比較-

演者 松久 威史(日本医大多摩永山病院・消化器科)
共同演者 山田 宣孝(日本医大付属病院・病理部), H. Aftab(ダッカ医大・消化器肝臓内科), S. Kr. Sharma(カトマンズ医大・外科)
抄録 【目的】胃癌罹患率は,どの国においても女性に比し男性で高いが,地域差があるのも事実である(日本人の男性/女性:2.6,バングラデシュ人:1.3,ネパール人:1.6,GLOBOCAN 2008より換算).性差の観点よりHelicobacter pylori(H. pylori)陽性南アジア(バングラデシュ人,ネパール人)の腺萎縮,腸上皮化生を観察し,東アジア(日本人)と比較観察した.【対象と方法】内視鏡検査,3点生検を行ったバングラデシュ人418例,ネパール人502例,日本人2,822例を対象とし,年齢をマッチさせたH. pylori陽性バングラデシュ人男女:111組,222例,H. pylori陽性ネパール人男女:93組186例,H. pylori陽性日本人男女:571組,1,142例,の計1,550例を用いた.3点生検切片(#1:前庭部下部大彎側,#2:胃体上部大彎側,#3:胃体下部小彎側)の病理診断はUpdated Sydney systemに従い,一人の病理医が診断した.【成績】バングラデシュ人の腺萎縮,腸上皮化生スコアはいずれの部位においても男女間に相違を認めなかった(#1の腺萎縮:男性0,女性0,#2の腺萎縮:男性0,女性0,#3の腺萎縮:男性0.03,女性0,#1の腸上皮化生:男性0.03,女性0.03,#2の腸上皮化生:男性0,女性0,#3の腸上皮化生:男性0.01,女性0.06).ネパール人の腺萎縮,腸上皮化生スコアもバングラデシュ人と同様に男女間に相違を認めなかった.一方,日本人の腺萎縮スコアに男女差はみられなかったが,腸上皮化生スコアは#1,#3において男性で高かった(#1:男性0.67,女性0.49,p=0.0025,#3:男性1.06,女性0.89,p=0.0217).【結語】日本人(東アジア)では腸上皮化生スコアに性差を認めたが(男性>女性),バングラデシュ人,ネパール人(南アジア)では性差がみられず,胃癌罹患率男女比の小さい一因と思われた.
索引用語 バングラデシュ人, ネパール人