セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胃・十二指腸(H.pylori 3)

タイトル 消P-331:

当院における除菌治療の検討と今後の課題について

演者 井上 修志(国立高知病院・消化器科)
共同演者 板垣 達三(国立高知病院・消化器科), 藤野 泰輝(国立高知病院・消化器科), 岡崎 潤(国立高知病院・消化器科)
抄録 【背景】近年,Helicobacter pylori(HP )の除菌療法は深く浸透してきた.適応疾患も徐々に追加され,HP感染胃炎に対する適応も追加され,適切な除菌治療の検討が必要となってきた.近年除菌不成功例の増加が問題となっており,原因として薬剤耐性菌の増加等が指摘されている.今回,当院における除菌治療の実態を把握し除菌治療の問題点,今後の課題について検討したので報告する.【対象】当院においては約20年程前より除菌治療を行っているが,除菌治療の実態を把握するため,過去10年間を便宜上2003年~2007年を前期,2008年~2012年を後期としその成績を比較検討した.10年間で除菌治療を行い経過観察しえた929例の内訳は,男性548例,女性381例であった.平均年齢58.2±15.1歳で,除菌方法は保険適応内薬剤で,除菌判定は呼気テストで行った.【結果】前期の症例数は352例,一次除菌成功率:86.4%,後期の症例数は577例,一次除菌成功率73.8%で二次除菌成功率86.7%であった.年代別で見ると2007年より除菌率低下傾向が認められた.二次除菌の除菌率は高値であったが,2012年の除菌率は低下が認められている.また検討症例は少ないが約10年前の32症例と2年前の79症例と比べCAMをはじめ薬剤耐性率が増加していた.CYP2C19遺伝子多型の影響も考え2012年の170症例で保険適応の3種類のPPIで除菌率を検討したが,現時点では有意差は認められ無かった.【結論】胃炎に対しての適応追加がされた事により今後,除菌治療が増加することが考えられ,適切な除菌治療を検討し報告することが必須と考えられる,最近の6年は除菌率の低下が見られており,今後は薬剤耐性の検索も行いレジメの適応を決定する,また耐性検査が困難な場合は,現在の二次除菌のレジメを一次除菌に適応する等,また胃炎の除菌適応に絡み,機能性ディスペプジア,NSADs潰瘍に対しての除菌療法の効果についても検討すると伴に,三次除菌をどうするか等の検討も必要と考えられた.
索引用語 ヘリコバクターピロリ除菌, 耐性菌