セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胃・十二指腸(H.pylori 3)

タイトル 消P-332:

1臨牀医のHelicobacter pylori除菌治療20年間の履歴

演者 川西 昌弘(広島原爆障害対策協議会DELIMITER広島大原爆放射線医科学研究所・計量生物研究分野)
共同演者
抄録 【目的】私は1993年にHelicobacter pylori(Hp)の培養法を確立し,学会の動向や多くの知見を参考に除菌治療を行ってきた.また,1998年からはE-testによる感受性試験を導入し,感染診断は培養法をgold standardとし,除菌判定は呼気試験にて2013年2月まで,約2000例の除菌確認を行った.今回,私の除菌方法の変遷と現在もっとも有効で効果的と思われる除菌方法について述べる.【方法】2012年末までに除菌確認を男性1436例(年齢中央値54.1歳,25%tile47.0歳-75%tile61.2歳),女性533例(59.5歳,51.0-68.9歳)に行った.除菌方法は(1)通常量2週間投与75例(オメプラゾール20mg,AMPC1.5g,次硝酸ビスマス2g/日)(2)通常量3週間投与48例,(3)倍量2週間投与59例(オメプラゾール40mg,AMPC2g,次硝酸ビスマス2g/日),(4)倍量3週間投与418例,(5)PPIとAMPC1.5g,クラリスロマイシン800mg/日の1週間投与(ラベプラゾール20mg処方261例,ランソプラゾール60mg592例,オメプラゾール40mg15例)(6)PPIとAMPC1.5g,メトロニダゾール500mgの1週間投与493例である.当初は内視鏡による生検材料を用いた迅速ウレアーゼ試験,組織学的鏡検,培養法の3者でHpの確認や除菌確認を,2001年から除菌3か月後に呼気試験にて除菌確認を行っている.また,2011年からはクラリスロマイシンのHp耐性の増加を憂慮して,培養の抗生剤感受性結果にて除菌方法を選択している.【結果】試行錯誤の結果や,多くの知見やガイドライン等により,現在もっとも効率的で有効と考える除菌方法は,胃内視鏡によるHp培養法と感受性の結果により除菌方法を選択する方法である.この方法により現在は,ラベプラゾール,AMPCおよびクラリスロマイシンもしくはメトロニダゾールの3剤併用の1回目の除菌方法により95.6%(196例/205例)の除菌成功率を得ており,医療経済的にも,感染症治療としても有用で妥当性のある治療方法と考えている.【結論】Hp感染胃炎の治療は感染症治療の原点に立ち返り,抗生剤感受性の結果により除菌方法を考慮すべきである.
索引用語 Helicobacter pylori, 除菌