セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胃・十二指腸(H.pylori 4)

タイトル 消P-333:

H.pylori除菌後時代におけるペプシノゲンによる胃癌リスク評価

演者 七條 智聖(東京大・消化器内科)
共同演者 山地 裕(東京大・消化器内科), 平田 喜裕(東京大・消化器内科), 磯村 好洋(東京大・消化器内科), 杉本 貴史(杏雲堂病院・消化器肝臓内科), 成田 明子(東京大・消化器内科), 鈴木 裕史(東京大・消化器内科), 渡邊 義敬(東京大・消化器内科), 小林 由佳(東京大・消化器内科), 崎谷 康佑(東京大・消化器内科), 吉田 俊太郎(東京大・消化器内科), 山田 篤生(東京大・消化器内科), 小池 和彦(東京大・消化器内科)
抄録 【背景】当科では胃癌予防の観点からも積極的にH.pylori除菌を行ってきた結果,近年除菌後に発見される胃癌が増加している.H.pylori感染による慢性胃炎に対しても除菌治療が保険適応となり,今後ますます除菌後に発見される胃癌が増加すると予測される.ペプシノゲン(PG)は胃癌のリスク分類に広く用いられてきたが,除菌後には少なからず陰性化することが知られ,除菌後時代のその使用について検討する必要がある.【方法】2013年2月までにESDを施行した早期胃癌症例のうち,除菌薬の内服歴があり,H.pylori抗体・迅速ウレアーゼテストおよび背景胃粘膜組織の病理診断にてH.pyloriがいずれも陰性で「除菌後」と判定され,PG値も測定した57例(69歳±8歳)を検討した.うち15例では除菌前のPG値も検討した.対照として,当科で2006年3月までに除菌した症例のうち除菌前後のPG値も測定した221例(57±12歳)を用いた.【結果】除菌前に,従来のPG陽性(PGI≦70ng/mlかつPGI/II比≦3)を満たしていたものは,発癌群15例中9例60%,対照群221例中76例36%,オッズ比2.9(95%信頼区間:1.0-8.3)であり,除菌前PG陽性者は除菌後においても高リスクであった.除菌後のPG値では,発癌群の感度が57例中10例18%,対照群は33例16%,オッズ比1.2(0.6-2.6)で,高危険群の集約に有用といえなかった.一方,PGI>70ng/mlかつPGI/II比>5を満たす群(X群とする)は,除菌前には胃癌0例,対照群13例6%であったが,除菌後では胃癌9例16%,対照群14例7%,オッズ比2.8(1.1-6.8)と,高危険群であった.X群は大半が酸分泌抑制薬を内服していた.【結論】除菌前にPG陽性であった群は高リスクであるが,除菌後においては従来通りの判定法ではリスク分類が困難であり,除菌治療前のPG測定が有用と考えられた.X群は,薬剤内服の例が多いが,除菌後の高危険群の可能性がある.
索引用語 H.pylori, pepsinogen