セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胃・十二指腸(H.pylori 4)

タイトル 消P-337:

エソメプラゾールを用いたH.pylori一次除菌療法の検討

演者 岩本 真也(済生会富山病院・内科)
共同演者 塚田 健一郎(済生会富山病院・内科), 西水 俊准(済生会富山病院・内科), 菓子井 良郎(済生会富山病院・内科)
抄録 【目的】新規PPIであるエソメプラゾール(EPZ)はCYP2C19遺伝子多型の影響を受けにくく,かつ高い酸分泌抑制効果を示すことが報告されている.しかしながらそのEPZを使用した国内でのH.pylori(H.P)除菌成績の報告は少ない.そこで当院においてEPZを使用した除菌成績を検討した.【方法】2011年7月から2013年1月の期間,H.pylori(H.P)陽性と診断され,過去に除菌経験がない連続した101例の患者において一次除菌結果をレトロスペクティブに検討した.この期間に実施した一次除菌のレジメンは,EPZ20mg+AMPC750mg+CAM200mgまたは400mg(以下EPZ群),ランソプラゾール30mg+AMPC750mg+CAM200mgまたは400mg(以下LPZ群),ラベプラゾール10mg+AMPC750mg+CAM200mgまたは400mg(以下RPZ群),1日2回7日間投与であった.除菌療法終了4週以上後に全例尿素呼気試験法にて除菌判定した.得られた結果よりEPZ群における患者背景因子別除菌率の検討を行った.【成績】全症例の内訳はEPZ群49例,LPZ群33例,RPZ群19例であった.また全症例における除菌対象疾患の内訳は胃潰瘍58.4%(59/101例),十二指腸潰瘍29.7%(30/101例),早期胃癌に対する内視鏡的治療後胃11.9%(12/101例)であった.除菌率の検討においてEPZ群91.8%(45/49例),LPZ群69.7%(23/33例),RPZ群68.4%(13/19例)であった.EPZ群において各除菌対象疾患別に除菌率を検討した結果,胃潰瘍92.6%(25/27例),十二指腸潰瘍92.9%(13/14例),早期胃癌に対する内視鏡的治療後胃87.5%(7/8例)と除菌対象疾患間で除菌率に有意な差はなかった.更に患者背景因子別に除菌率を比較検討した結果,年齢,性別,喫煙有無,飲酒有無,BMI,潰瘍部位,潰瘍ステージ,合併症有無,併用薬有無,おいていずれも有意な差は認めなかった.またEPZに起因したと考えられる有害事象は認めなかった.【結論】EPZ使用による一次除菌療法では高い除菌率が得られた.EPZを含む一次除菌療法は患者背景に影響されず安定した除菌効果を示したことより本療法は幅広い患者層において効果が期待される.
索引用語 除菌療法, エソメプラゾール