セッション情報 |
ポスターセッション(消化器病学会)
胃・十二指腸(H.pylori 4)
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タイトル |
消P-338:当院における過去3年間のヘリコバクター除菌療法の検討
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演者 |
柚木 直子(赤磐医師会病院) |
共同演者 |
蓮尾 英明(赤磐医師会病院), 緒方 正敏(赤磐医師会病院), 川口 憲二(赤磐医師会病院) |
抄録 |
当院は岡山市郊外の,対象医療圏人口6万人ほどの地域中核病院で,救急患者の受け入れもしており地域第一線の病院でもある.消化器内科と外科の医師が常勤であることもあり,以前から消化器疾患を中心に多く診療してきた.胃癌予防も見据えてHelicobacter pylori感染症(以下Hp感染症)の除菌治療が,全国的に広がっているところであるが,大学病院や都心の大規模病院とは違う実態が地域病院にはあると考える.当院での過去3年間の診療の実際とその内容について検討した.消化器症状を訴えて当院を受診した患者で何らかの検査でHp感染症を判定した患者191人(男性123人,女性68人)を対象とした.このうち除菌療法を施行したのは116人,この中の除菌判定が確認できた109人(男性73人,女性36人,平均年齢58.6歳)について検討した.一次除菌の除菌率は78%,二次除菌の除菌率は94%だった.除菌判定の方法は迅速ウレアーゼテストが55%,血清ヘリコバクター抗体測定が33%尿素呼気テストが7%,生検組織による判定が5%であった.症状を訴えて受診する患者に上部消化管内視鏡検査を早期に施行することが多いため,迅速ウレアーゼテストによる判定が多くなり,また出血で来院し救急処置をした患者には血清抗体で判定するといった当院の特徴があらわれていると,思われた.原疾患は胃潰瘍と十二指腸潰瘍で65%を占めた.除菌判定は,ほとんどが尿素呼気テストを使用しており,除菌から判定までは平均58日であった.症状がとれてしまうと除菌判定検査に来院するのが面倒になる患者も多く,除菌レジメを処方しても,除菌判定ができなかった患者も認められた.萎縮性胃炎に対するHp除菌療法の保険診療が可能になったこともあり,今後除菌の施行は増加していくと考えられる.萎縮性胃炎でHp感染を指摘されても,放置したままの患者や,せっかく除菌療法を施行しても除菌判定をきちんとしていない症例も多く,今後の啓蒙が大切であると考える. |
索引用語 |
ヘリコバクター, 除菌療法 |