セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胃・十二指腸(NSAIDs)

タイトル 消P-340:

出血性胃・十二指腸潰瘍症例におけるNSAIDs服用者の臨床的特徴

演者 岡信 秀治(中国労災病院・内科)
共同演者 北村 正輔(中国労災病院・内科), 井上 貴統(中国労災病院・内科), 平野 哲朗(中国労災病院・内科), 中村 有希(中国労災病院・内科), 吉福 良公(中国労災病院・内科), 久賀 祥男(中国労災病院・内科), 守屋 尚(中国労災病院・内科), 大屋 敏秀(中国労災病院・内科)
抄録 【目的】出血性胃・十二指腸潰瘍症例におけるNSAIDs服用者の臨床的特徴を明らかにする.【対象と方法】対象は当科にて上部消化管出血で緊急内視鏡検査を施行し胃・十二指腸潰瘍と診断した273例で,NSAIDs服用群72例,NSAIDs非服用群201例の2群間において患者背景,内視鏡所見などの臨床的特徴についてそれぞれ比較検討した.統計学的有意差検定にはχ2検定を用いた.【結果】NSAIDs服用群の平均年齢は75.1歳,男性34例,女性38例,非服用群の平均年齢は66.4歳,男性148例,女性53例で,NSAIDs服用群で有意に高齢で女性の割合が多かった.NSAIDs服用群は91.7%で併存疾患を有し,非服用群の46.3%より有意に高率であった(p<0.001).NSAIDsの内訳はロキソプロフェン34例,ジフロフェナク6例,低用量アスピリン34例,他3例で,複数薬の併用は7例であった.ワルファリンやその他の抗血小板剤の併用はNSAIDs服用群23例(31.9%),非服用群21例(10.4%)で,NSAID服用群で有意に高率であった(p<0.001).一方,抗潰瘍薬の併用はNSAIDs服用群29例(40.3%),非服用群26例(12.9%)で,その内PPIはそれぞれ5例,7例であった.H.pylori感染においては,検索し得た範囲ではNSAIDs服用群39.5%,非服用群62.1%で,NSAIDs服用群で有意に低率であった(p<0.05).輸血を必要とした割合はNSAIDs服用群36例(50.0%),非服用群91例(45.3%)で両群間に差は認めなかった(p=0.581).止血術を要した割合はNSAIDs服用群41例(56.9%),非服用群139例(69.2%)で両群間に差は認めなかった(p=0.061).死亡例はNSAIDs服用群4例(5.6%),非服用群10例(5.0%)で両群間に差は認めなかった(p=0.905).【結語】出血性胃・十二指腸潰瘍症例において,NSAIDs服用群は有意に高齢で女性が多く,併存疾患の合併が多かった.H.pylori感染はNSAIDs服用群で有意に低率であった.また,NSAIDsの半数は低用量アスピリンで,約40%は複数のNSAIDsやワルファリン・その他の抗血小板剤を併用されていた.
索引用語 NSAIDs, 胃・十二指腸潰瘍