セッション情報 |
ポスターセッション(消化器病学会)
胃・十二指腸(NSAIDs)
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タイトル |
消P-341:PPI保険適応前後における高齢者出血性NSAIDs潰瘍の臨床的特徴に関する検討
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演者 |
木村 茂(広島市立安佐市民病院・消化器内科) |
共同演者 |
永田 信二(広島市立安佐市民病院・内視鏡内科), 高田 俊介(広島市立安佐市民病院・内視鏡内科), 上田 裕之(広島市立安佐市民病院・消化器内科) |
抄録 |
【はじめに】NSAIDs消化性潰瘍の予防に対し,2010年7月末よりPPIが保険適応となった.特に,高齢者出血性消化性潰瘍では致死的となることもあり,予防は重要である.【目的】65歳以上の高齢者における出血性NSAIDs潰瘍のPPI保険適応前後における,臨床的特徴を明らかにする.【対象と方法】2003年1月から2012年11月までに上部消化管内視鏡検査を施行し,出血性消化性潰瘍と診断された75歳以上の214例 (男性122例,女性92例,平均年齢81.9±5.2歳,胃潰瘍168例,十二指腸潰瘍36例,吻合部潰瘍10例)を対象とした.PPI保険適応前の2010年7月以前を前期158例,それ以後を後期101例とし,低容量アスピリンを含むNSAIDs内服群と非NSAIDs群に分類し,消化性潰瘍の既往,Helicobacter pylori (Hp)陽性率,抗凝固抗血小板剤内服の有無,PPI内服の有無について検討した.【結果】NSAIDs内服は,前期50.6%(80/158),後期37.5%(21/56)であり,前期に比べ後期で有意にNSAIDs内服が少なかった.消化性潰瘍の既往は,前期NSAIDs群31.3%(25/80),非NSAIDs群28.2%(22/78)であり,後期NSAIDs群23.8%(5/21),非NSAIDs群34.3%(12/35)であり,後期群で多かった.Hp陽性率は,前期NSAIDs群36.2%(17/47),非NSAIDs群67.5%(86/125)で,後期NSAIDs群29.4%(5/17),非NSAIDs群67.7%(10/31)であり,前後期で差はなかた.抗凝固抗血小板剤内服の有無は,前期NSAIDs群38.5%(30/78),非NSAIDs群19.5%(15/77)で,後期NSAIDs群47.6%(10/21),非NSAIDs群45.7%(16/35)であり,後期群で多かった.PPI内服の有無は,前期NSAIDs群5.0%(4/80),非NSAIDs群7.7%(6/76)で,後期NSAIDs群14.3%(3/21),非NSAIDs群17.1%(6/35)であった.【結語】PPI保険適応後,高齢者出血性NSAIDs潰瘍の比率は低下しており,PPI保険適応の効果はみられるものの,予防的PPI内服率は低かった.また,抗凝固抗血小板剤内服例の頻度が高く,NSAIDsに併用する場合にはPPI内服が必要と考えられた. |
索引用語 |
NSAIDs, 出血性消化性潰瘍 |