セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胃・十二指腸(胃癌2)

タイトル 消P-350:

手つなぎ型胃癌の臨床病理学的考察

演者 田中 健大(岡山大病院・病理診断科)
共同演者
抄録 手つなぎ型腺癌は,胃癌取り扱い規約第14版では中分化型管状腺癌に分類され,一般型腺癌と見なされる病変であるが,近年,その臨床病理学的解析が進むにつれて,通常の腺癌とは異なった性格を有する腫瘍であることが明らかになりつつある.我々の施設では2011年以降で20症例であり,全胃癌症例の2.5%と稀な疾患である.中部に発生する頻度が高く,肉眼型としては表面陥凹型病変が多いが,病変の辺縁では表面平坦型で範囲診断が困難な症例が多く見られた.細胞像では腸上皮化生上皮に類似する,極めて細胞異型に乏しい症例も存在し,生検診断が困難であった症例も含まれた.また,約半数の症例では非充実型低分化型腺癌あるいは印環細胞癌の成分の混在がみられた.18例が粘膜内病変で,2例が粘膜下組織への浸潤を示し,粘膜下組織への浸潤はいずれも低分化型の成分であった.リンパ節転移はM癌,SM癌でそれぞれ一例ずつであった.2012年,Okamotoらによって25例の報告がなされているが,当施設での結果もおおむね同様の結果であった.これまでの報告と併せると,手つなぎ型腺癌は,内視鏡・生検診断が困難な疾患であり,未分化型腺癌成分の混在が高頻度である特殊な組織亜型であると特徴付けられる.
索引用語 胃癌, 手つなぎ型