セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胃・十二指腸(胃癌2)

タイトル 消P-351:

当院で経験したAFP産生胃癌の臨床的特徴についての検討

演者 羽柴 智美(国立金沢医療センター・消化器科)
共同演者 矢野 正明(国立金沢医療センター・消化器科), 吉田 真理子(国立金沢医療センター・消化器科), 丹尾 幸樹(国立金沢医療センター・消化器科), 丸川 洋平(国立金沢医療センター・消化器科), 笠島 里美(国立金沢医療センター・臨床検査科), 川島 篤弘(国立金沢医療センター・臨床検査科), 太田 肇(国立金沢医療センター・消化器科)
抄録 【はじめに】AFP産生胃癌は全胃癌の2~9%と比較的稀で,早期に肝転移やリンパ節転移を伴うことが多く予後不良とされている.また,その治療方法は確立されていない.今回,当院で経験したAFP産生胃癌について検討する.【対象】2007年4月~2013年3月の期間に,当院で経験したAFP産生胃癌症例6例を対象とした.【結果】診断時の平均年齢は71.8(48-87)歳,男女比は4:2,診断契機は有症状4例(上腹部症状3例,吐血1例),2例は無症状で偶発的であった.占拠部位は前庭部~体部,2型/3型腫瘤が 3 / 2例,1例は0-IIa病変であった.病期はstage I / II / IVb が 1 / 1 / 4例であり,有症状例は全て進行例であった.遠隔転移部位は,肝 / リンパ節 / 肺が 4 / 4 / 1例であり,肝転移を認めた4例全例がリンパ節転移を伴い,門脈浸潤を1例に認めた.血清AFP値は中央値 6824 (1-66820) ng/mlであり,全例のCEA / CA19-9陽性率は 33 / 17%で進行例でも上昇を認めない症例が多かった.治療法は,根治的手術 / 化学療法 / 姑息的手術および術後化学療法 / BSCが 2 / 2 / 1 / 1例で,全例の生存期間中央値は14.0(3-33)ヶ月であった.各治療群別の成績は,根治切除(根治度B)群2例は再発なく,平均30.5ヶ月間生存中である.化学療法群2例は,TS-1+CDDP併用やTS-1単独,CPT-11,DOCを使用し生存期間中央値11(7-17)ヶ月で,現在,1例のみ化学療法を継続し11ヶ月間生存中である. 【結語】当院の経験では,AFP産生胃癌でも早期発見され治癒切除可能症例では,長期生存が得られる症例も認めた.進行例では肝転移やリンパ節転移を認めることが特徴であり,切除不能例であっても,化学療法奏功例で生存期間延長が得られる可能性がある.CEA / CA19-9陰性の胃癌では,AFP産生胃癌も念頭に血清AFPを確認する必要があると考えられた.
索引用語 AFP産生胃癌, AFP