セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胃・十二指腸(胃癌3)

タイトル 消P-357:

80歳以上の早期胃癌ESD施行例の長期追跡結果

演者 駒澤 慶憲(出雲市立総合医療センター・内科)
共同演者 結城 美佳(出雲市立総合医療センター・内科), 楠 真帆(出雲市立総合医療センター・内科), 福原 寛之(出雲市立総合医療センター・内科), 雫 稔弘(出雲市立総合医療センター・内科)
抄録 早期胃癌に対する粘膜下層切開剥離術(ESD)は確立した治療手技となっており,高齢者に対するESDの安全性は非高齢者と比較しても劣らないとの報告も多数ある.しかしながら80歳を超える超高齢者の場合,その長期的予後を考慮すると治療の選択に迷う症例も少なからず存在する.当院では高齢者に対するESDの適応を1.自力歩行が可能であるPerformance Status(PS)2以下,2.病気と治療法に対する理解が可能な認知力がある,3.併存疾患の予後が3年以上望める,以上の3点としている.今回当院で早期胃癌に対しESDを施行した80歳以上の症例に対し3年以上の経過観察を行い,予後やPSの変化などを調査することで超高齢者に対するESDの妥当性を検討した.【方法】当院で2007年1月から2010年3月にESDを施行した80歳以上の早期胃癌で3年以上経過を追えた18例19病変(ガイドライン適応病変:3病変,適応拡大:15病変,適応外:1病変)に関して死亡率,PSの変化,再発の有無につき検討した.ESD時の平均年齢は83.1±2.6歳,男性:女性=10:8.ESD時の重篤な偶発症はなかったが,1例でESD後の噴門狭窄に対し内視鏡的バルン拡張術を施行した.1例で脈管侵襲により追加手術を行った.【結果】18例中1例はESD後666日しか追跡できず,3年追跡率は94.4%(17/18),平均追跡期間は1517.9±468日(471-2162日)であった.追跡期間中の生存率は94.1%(16/17)で,術後471日後に肺炎による死亡例が1例あったが胃癌死はなかった.追跡期間内での再発例は認めなかった.術前および最終経過観察時の平均PSはそれぞれ0.72±0.6と1.3±1.0で有意な低下はなかったが,車椅子移動となりPS 3となったものが3例存在し,それ以上に悪化した例はなかった.【考察】当院での超高齢者に対するESDの適応は前述のとおりであるが,早期胃癌の無治療経過観察に関するいくつかの既報と比べ,今回の検討での3年以上の追跡における死亡率や再発率は十分に満足できるものであり,特にPS悪化が著明な例もなかったことから妥当なものと考えられた.
索引用語 早期胃癌, 超高齢者