セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胃・十二指腸(胃癌4)

タイトル 消P-359:

胃癌内視鏡治療後に適応外病変と診断された症例の転帰ならびにその長期成績

演者 三浦 公(岡山大病院・消化器内科)
共同演者 神崎 洋光(岡山大病院・消化器内科), 岡田 裕之(岡山大病院・光学医療診療部), 河野 吉泰(岡山大病院・消化器内科), 小林 沙代(岡山大病院・消化器内科), 堀 圭介(岡山大病院・光学医療診療部), 喜多 雅英(岡山大病院・消化器内科), 筑木 隆雄(岡山大病院・消化器内科), 松原 稔(岡山大病院・消化器内科), 川野 誠司(岡山大病院・光学医療診療部), 那須 淳一郎(岡山大病院・消化器内科), 河原 祥朗(岡山大病院・光学医療診療部), 山本 和秀(岡山大病院・消化器内科)
抄録 目的:早期胃癌に対する粘膜切除術は低侵襲治療として確立した治療であり,その治療適応は胃癌治療ガイドラインで設定されている.一方で追加治療の絶対適応と考えられる適応外病変についても,臨床の現場では全身状態や患者背景から必ずしも追加外科手術がなされてはいない.一括完全切除し得たが適応外病変であった症例の長期成績を検討したため報告する.方法:当院において2001年3月より2011年1月までに施行した早期胃癌内視鏡的切除術560例647病変のうち,病理診断で適応外病変かつ一括完全切除がなされた78症例78病変について検討を行った.結果:追加手術を行った症例は41例であり,37例は追加治療無く経過観察された.追加手術群の平均年齢は69±7歳であり,経過観察群 74±9歳より有意に若かった(p=0.004).また,心疾患や呼吸器疾患など重篤な合併症を有するものは経過観察群で多く認められた(p=0.031).追加手術群ではSM2以深への浸潤(33/41例),脈管侵襲陽性(31/41例)が多く見られ,経過観察群と有意差を認めた(p=0.023, p=0.014).手術標本では1例のみ胃内に残存を認め,リンパ節転移を認めた症例は41例中6例であった.リンパ節転移と有意に関連を持つ項目は認めなかったが,全て脈管侵襲陽性であった.特にリンパ管,血管いずれも侵襲がある症例は全てリンパ節転移を認めた(4/4例).平均観察期間1634±832日(224-3999日)の間に追加手術群より4例の他病死を認め,経過観察群から1例の原病死と6例の他病死を認めた.結語:追加手術群は意図的にSM深部浸潤や脈管浸潤などリンパ節転移のリスクが高いものを施行しており,追加切除により高率でリンパ節転移が確認された.経過観察群でも原病死は1例のみであり,高齢で重篤な合併症を抱える症例では全身状態を加味して脈管侵襲が無ければ経過観察も行える可能性があると考えられた.
索引用語 胃癌, 内視鏡治療