セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胃・十二指腸(胃癌4)

タイトル 消P-360:

胃癌幹細胞を標的とした腫瘍溶解性ウイルス,レオウイルスによる新規治療

演者 久保田 英嗣(名古屋市立大大学院・消化器・代謝内科学)
共同演者 片岡 洋望(名古屋市立大大学院・消化器・代謝内科学), 森 義徳(名古屋市立大大学院・消化器・代謝内科学), 田中 守(名古屋市立大大学院・消化器・代謝内科学), 海老 正秀(名古屋市立大大学院・消化器・代謝内科学), 片野 啓仁(名古屋市立大大学院・消化器・代謝内科学), 濱野 真吾(名古屋市立大大学院・消化器・代謝内科学), 林 則之(名古屋市立大大学院・消化器・代謝内科学), 西脇 裕高(名古屋市立大大学院・消化器・代謝内科学), 尾関 啓司(名古屋市立大大学院・消化器・代謝内科学), 塚本 宏延(名古屋市立大大学院・消化器・代謝内科学), 溝下 勤(名古屋市立大大学院・消化器・代謝内科学), 谷田 諭史(名古屋市立大大学院・消化器・代謝内科学), 城 卓志(名古屋市立大大学院・消化器・代謝内科学)
抄録 【目的】腫瘍溶解性ウイルス,レオウイルスは癌細胞に対する優れた殺細胞効果から,新規がん治療薬として注目されている.欧米ではレオウイルスを用いた臨床試験がすでに行われ,その臨床実用化が期待されている.これまでに我々はレオウイルスによる胃癌治療の有用性を報告してきた.今回我々は化学療法に耐性を示すことが知られている癌幹細胞に対するレオウイルスの効果について検討したので報告する.【方法】胃癌細胞株AGS,NCI-N87,MKN1,MKN7を用いて検討した.胃癌細胞にレオウイルスを感染させた後,MTSアッセイによりレオウイルスの殺細胞効果を評価した.同時に胃癌幹細胞のマーカーであるCD44を発現している細胞の比率をFACSで測定し,レオウイルスの胃癌幹細胞に対する作用を検討した.癌幹細胞は転移・浸潤能が高いことが報告されている.そこで胃癌細胞をレオウイルスに感染させた後,細胞運動・浸潤能の変化を,wound healing assay, Traswell migration / invasion assayにより評価した.なおCPT-11およびPaclitaxelで処理した胃癌細胞を用い,その効果を比較検討した.【成績】今回使用した胃癌細胞はすべてレオウイルスに感受性を示し,CPT-11,Paclitaxelと比較し,その効果に有意差はみられなかった.癌幹細胞の検討では,AGS, NCI-N87でレオウイルス投与後,CD44陽性細胞の比率が減少した.一方,CPT-11,Paclitaxelで処理した細胞ではCD44陽性の比率は増加傾向にあった.各種アッセイ系での検討から,レオウイルスによる細胞運動,浸潤の抑制効果を認めたが, CPT-11,Paclitaxelでは抑制効果は認められなかった.【結論】レオウイルスはCD44陽性胃癌細胞に対し殺細胞効果を有し,また胃癌細胞の細胞運動能,浸潤能を有意に抑制した.これらの結果は胃癌幹細胞を標的としたレオウイルスによる治療が有用であることを示唆するものであった.
索引用語 胃癌幹細胞, レオウイルス