セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胃・十二指腸(胃癌5)

タイトル 消P-368:

HER2陽性胃癌の診断における生検検体の有用性について

演者 吉村 大輔(済生会福岡総合病院・消化器内科)
共同演者 江見 泰徳(済生会福岡総合病院・外科), 水谷 孝弘(済生会福岡総合病院・消化器内科), 向井 康二(済生会福岡総合病院・消化器内科), 富田 洋介(済生会福岡総合病院・消化器内科), 江崎 充(済生会福岡総合病院・消化器内科), 池田 浩子(済生会福岡総合病院・消化器内科), 定永 倫明(済生会福岡総合病院・外科), 松浦 弘(済生会福岡総合病院・外科), 落合 利彰(済生会福岡総合病院・消化器内科), 中島 明彦(済生会福岡総合病院・病理診断科), 中村 和彦(九州大大学院・病態制御内科学)
抄録 【背景と目的】ToGA studyをもとに承認された,手術不能進行・再発胃癌に対するtrastuzumab併用化学療法は病理組織学的なHER2の強発現(免疫染色3+,または免疫染色2+かつFISH法での増幅陽性)をその条件とする.病理組織が内視鏡生検のみとなる症例も多く,化学療法を担当しない消化器内科医もHER2陽性胃癌の形態病理と診断について精通する必要がある.
【方法】2011年5月から2012年12月にかけて当院で診断した手術不能進行・再発胃癌の形態病理学的特徴およびHER2陽性率に関して手術および生検検体別に検討した.手術検体は術後3時間以内にホルマリン固定し5日以内に切り出し,パラフィン包埋している.生検検体はすぐに固定を行い12時間以内に包埋している.
【結果】対象44例(男女比25:19,平均年齢64.8歳)のうちHER2陽性は13例(29.5%)であった.13例の肉眼型は11例が2ないし3型であり,主要な組織型はtub1/tub2が8例,pap1例と分化型癌が大勢を占めた.一方でHER2陰性31例のうち低分化型癌(por/sig/muc)は24例(77.4%)と多数であった.
44例中29例が生検検体から診断され,HER2陽性は12例(41.4%)で手術検体より有意に高率であった(p<0.01).4例のHER2陽性低分化型癌は総て生検検体からの診断であった.
【考察】当院の進行胃癌症例の内視鏡検査では可能な限りintestinal typeと思われる部位を含めて狙撃生検しているが,手術検体より高いHER2陽性率が得られた要因には迅速な標本作製も寄与していると考えられた.
索引用語 HER2, trastuzumab