セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胃・十二指腸(その他1)

タイトル 消P-370:

H. pylori 除菌療法に反応しない胃MALTリンパ腫の解析

演者 小林 祥司(市立甲府病院・消化器内科)
共同演者 大高 雅彦(山梨大・1内科), 吉田 貴史(山梨大・1内科), 浅川 幸子(山梨大・1内科), 末木 良太(山梨大・1内科), 小馬瀬 一樹(山梨大・1内科), 植竹 智義(山梨大・1内科), 大塚 博之(市立甲府病院・消化器内科), 佐藤 公(山梨大・1内科), 榎本 信幸(山梨大・1内科)
抄録 背景:胃限局期MALTリンパ腫(clinical stage 以下CS I / II1)に対する治療はHelicobacter pylori (以下Hp)除菌療法が第1選択として認知されているが,除菌治療で寛解に至らない症例も存在する.除菌不応例の特徴として,API2-MALT1遺伝子異常,Hp非感染などが知られており,我々のデータマイニング決定木モデル(CHAID)を用いた検討でも同様の結果が得られ,以前報告を行った.また内視鏡の肉眼所見を分類し,粘膜下隆起を主体とした内視鏡像を呈する病変は,除菌不応と関連がみられたことも報告した.今回,更に症例を蓄積し,追加報告する.対象:1999年から2013年までに診断された胃MALTリンパ腫45例で,男/女=18/27,年齢38-83(平均61.2歳),病期(Lugano国際会議分類)はCS I/II1/II2/IV=42/1/1/1,Hp陽性36例(80.4%)であった.方法:Hp感染の存在は,H.pylori培養,ウレアーゼテストまたは呼気テストのいずれかに加えH.pylori IgGを測定した.全例にHp除菌療法を行い,除菌成功による完全奏効(complete response以下CR)を判定した.内視鏡の肉眼所見に関しては,その構成要素から分類し,潰瘍・びらん・発赤を有するびらん群,褪色粘膜群,粘膜下隆起群,インジゴカルミン染色による顆粒状粘膜群を区別した.Hp除菌によるCR率は60.6%で,単変量解析で年齢(p=0.0076),びらん群(p=0.0135),粘膜下隆起群(p=0.0054),Hp感染(p=0.0175),API2-MALT1遺伝子異常やトリソミー18など染色体異常(p=0.0047)に関連がみられた.多変量解析では有意なものは得られなかった.染色体異常を検索した35例について,データマイニング決定木モデル(CHAID)をPASW statistics 18を用いて解析し,染色体異常とHp感染の有無とが独立した因子として抽出された.結語:染色体異常を伴う症例,染色体異常は伴わなくてもHp陰性の症例はHp除菌療法に反応せず,放射線照射など追加治療が必要となる.
索引用語 MALTリンパ腫, Helicobacter pylori