セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胃・十二指腸(その他2)

タイトル 消P-377:

当院で経験した上腸間膜動脈症候群(SMA症候群)4例の検討

演者 真川 祥一(松阪中央総合病院・胃腸科)
共同演者 小林 一彦(松阪中央総合病院・胃腸科), 玉井 康将(松阪中央総合病院・胃腸科), 黒田 直起(松阪中央総合病院・胃腸科), 矢田 崇純(松阪中央総合病院・胃腸科), 原田 哲朗(松阪中央総合病院・胃腸科), 金子 昌史(松阪中央総合病院・胃腸科), 井口 正士(松阪中央総合病院・胃腸科), 別府 徹也(松阪中央総合病院・胃腸科), 直田 浩明(松阪中央総合病院・胃腸科), 山中 猛成(松阪中央総合病院・胃腸科)
抄録 【緒言】SMA症候群は診断基準及び治療法に一致した見解がない.原因不明の腹痛及び嘔吐を主訴とすることが多いが当疾患を念頭に置いて診療しなければ見落としかねない疾患である.また,慢性膵炎や周期性腹痛症等と診断され経過観察されうる疾患でもある.【症例】例1:57歳男性.突然の嘔吐で発症し,絶食にて経過観察し軽快入院15日で退院するも退院後症状の再発し,胃空腸吻合術を施行し術後25日で退院した.例2:67歳女性.嘔吐により発症し,経鼻胃管挿入後保存的に治療し入院18日目に退院した.例3:67歳女性.突然の嘔吐により発症し,認知症の悪化で経口摂取量低下し体重減少も顕著であり長期的な経鼻栄養困難と考え入院後47日目に胃空腸吻合術及び腸瘻形成術施行された.例4:85歳男性,突然の腹痛,嘔吐により発症した.来院時血液検査及び画像所見よりSMA症候群と膵炎の続発と診断した.経鼻胃管挿入・補液により経過観察し膵炎に対しては蛋白分解酵素阻害剤及び抗生剤投与し保存的に経過観察し,入院32日目に退院した.【結果】2007年から2013年2月まで当院で経験したSMA症候群は4例で,男性2例,女性2例,年齢は57歳から85歳で平均年齢は69歳であった.手術施行例は2例で,胃空腸吻合術が基本であり,1例は腸瘻造設術も追加された.合併症としてはSMA症候群に合併して膵炎を発症した1例があった.【考察】当疾患の病態は大動脈とSMAに十二指腸が挟まれる事による通過障害であり,腹部CT撮影やSMAと大動脈の分枝角を腹部エコーにて測定することが診断の上では重要と考えられる.上記の4例ではエコーにて分岐角が正常であった1例もあり,CTの方が診断精度は高い傾向であった.治療については経鼻胃管挿入にて内圧を減少させた後食事内容を注意し体重を増加させる事に念頭を置く.保存的治療にも反応性が乏しい場合は胃空腸吻合術などの手術適応となると考えられる.
索引用語 上腸管膜動脈症候群, SMA