セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

小腸(基礎)

タイトル 消P-381:

マウス小腸虚血再灌流傷害おけるrapamycinによる全身性遠隔臓器障害の制御機構の解明

演者 飯田 貴弥(京都府立医大・消化器内科)
共同演者 内藤 裕二(京都府立医大・消化器内科), 高木 智久(京都府立医大・消化器内科), 堅田 和弘(京都府立医大・消化器内科), 水島 かつら(京都府立医大・消化器内科), 堀江 秀樹(京都府立医大・消化器内科), 鈴木 健太朗(京都府立医大・消化器内科), 稲田 裕(京都府立医大・消化器内科), 上原 有紀子(京都府立医大・消化器内科), 福田 亘(京都府立医大・消化器内科), 寄木 浩行(京都府立医大・消化器内科), 辻 俊史(京都府立医大・消化器内科), 福居 顕文(京都府立医大・消化器内科), 久貝 宗弘(京都府立医大・消化器内科), 鎌田 和浩(京都府立医大・消化器内科), 内山 和彦(京都府立医大・消化器内科), 半田 修(京都府立医大・消化器内科), 八木 信明(京都府立医大・消化器内科), 吉川 敏一(京都府立医大・消化器内科)
抄録 【背景】小腸虚血再灌流傷害は上腸間膜動脈閉塞症,手術,外傷,ショック等の病態においてみられ,全身性炎症反応症候群,遠隔臓器障害を合併し,致死的になりうることが知られている.しかし,小腸虚血再灌流傷害の進展制御に向けた治療法は未だ不十分である.mammalian target of rapamycin(mTOR)は,細胞分化,増殖,オートファジーと関連し,悪性腫瘍,炎症等の病態における治療標的因子として注目されている.今回我々は,mTOR阻害剤であるrapamycinを用いて,マウス小腸虚血再灌流傷害の進展制御における検討を行った.【方法】7週齢雄性C57BL/6マウスを用いて上腸間膜動脈を60分間結紮し,その後,再灌流する小腸虚血再灌流傷害モデルを作成した.rapamycinは結紮1時間前に腹腔内投与とした.評価項目として,生存率,腸管洗浄液中の漏出蛋白,小腸粘膜における炎症性サイトカイン産生,小腸病理組織,小腸粘膜内好中球浸潤(MPO活性)について検討した.また遠隔臓器障害の評価として,肺組織におけるMPO活性,炎症性サイトカイン産生,細菌コロニー数,肺胞洗浄液(BAL)の検討を行った.【結果】rapamycin投与群では,小腸虚血再灌流傷害後の生存率は有意に改善した.小腸においては,漏出蛋白,TNF-alpha産生およびMPO活性は,小腸虚血再灌流傷害により有意に増加していたが,rapamycin投与による小腸局所の傷害の改善は認めなかった.一方,肺組織において,rapamycin投与により,MPO活性やTNF-alpha産生の低下,細菌コロニー数の減少,BALにおける細胞数の減少を認めた.【結語】rapamycinを投与することで,小腸虚血再灌流傷害後の生存率は有意に改善された.この機序に小腸局所の傷害の制御ではなく,遠隔臓器として肺障害の進展制御による可能性が示唆された.
索引用語 虚血再灌流, rapamycin