セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

小腸(臨床1)

タイトル 消P-385:

腸管気腫症34例の臨床的検討

演者 大塚 崇史(神戸赤十字病院・消化器内科)
共同演者 具 潤亜(神戸赤十字病院・消化器内科), 松島 幸慧(神戸赤十字病院・消化器内科), 迫 智也(神戸赤十字病院・消化器内科), 生方 綾史(神戸赤十字病院・消化器内科), 東内 雄亮(神戸赤十字病院・消化器内科), 横山 祐二(神戸赤十字病院・消化器内科), 平山 貴視(神戸赤十字病院・消化器内科), 黒田 浩平(神戸赤十字病院・消化器内科), 白坂 大輔(神戸赤十字病院・消化器内科), 藤井 正俊(神戸赤十字病院・消化器内科)
抄録 【背景と目的】腸管気腫症(pneumatosis intestinalis;以下,PI)は比較的稀な疾患で,腸管壊死で認められる予後不良な所見とされてきたが,近年保存的加療で軽快した症例も多く報告されている.今回,PIの治療方針の指標となる因子を自験例と文献報告例から考察した.【対象と方法】2006年7月から2013年1月まで当院で腹部CT検査にて腸管気腫症と診断された34例に対して検討した.【成績】年齢は21~95歳(平均70.3歳).性別は男性15例,女性18例.基礎疾患は高血圧13例,糖尿病5例,脂質異常症3例,大動脈解離3例,心筋梗塞2例.主訴は腹痛19例,腹部膨満感3例など28例が有症状であったが,5例は無症状であった.原疾患は,イレウス11例,非閉塞性腸管虚血症(NOMI)4例,上腸間膜動脈血栓塞栓症3例,虚血性腸炎2例,感染性腸炎2例,ヘルニア2例.治療は手術12例,保存的加療21例.死亡例は5例で,手術例2例,保存的治療例3例.PCI以外のCT検査所見としては,門脈ガス血症8例,free air8例,腸管虚血・壊死12例を認めた.門脈ガス血症の有無は予後には寄与しなかった.死亡例は34例中5例で全て腸管虚血・壊死を認めた症例であった(14.7 %).組織循環不全を反映するとされる血中乳酸値は,腸管虚血・壊死を認めた症例では1.40-13.43(4.91±3.41) mmol/l,認めなかった症例では0.85-4.76(2.24±1.27) mmol/lであった.腸管虚血・壊死を認めなかった症例では全て5 mmol/l以下であり,5 mmol/l以上の場合は腸管虚血を強く疑うべきであると考えられた.【結語】PCIで腸管虚血・壊死を認めた場合には予後不良であるが,腸管虚血・壊死を伴わない場合には,保存的加療により多くの症例は改善するため,注意深く経過観察し,治療方針を慎重に決定する必要がある.
索引用語 腸管気腫症, 腸管虚血