セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

小腸(臨床1)

タイトル 消P-388:

当院で経験した腸閉塞を発症した回腸子宮内膜症5例の検討

演者 迫 智也(神戸赤十字病院・消化器内科)
共同演者 具 潤亜(神戸赤十字病院・消化器内科), 松島 幸慧(神戸赤十字病院・消化器内科), 生方 綾史(神戸赤十字病院・消化器内科), 大塚 崇史(神戸赤十字病院・消化器内科), 東内 雄亮(神戸赤十字病院・消化器内科), 横山 祐二(神戸赤十字病院・消化器内科), 平山 貴視(神戸赤十字病院・消化器内科), 黒田 浩平(神戸赤十字病院・消化器内科), 白坂 大輔(神戸赤十字病院・消化器内科), 藤井 正俊(神戸赤十字病院・消化器内科)
抄録 【目的】腸管子宮内膜症は子宮内膜症全体の約10%を占めるが,中でも回腸の発生はまれである.術前診断が困難で,腸閉塞を発症した場合は緊急対応が必要となるが,複数例での検討は少ない.【方法】2003年8月から2013年2月までに腸閉塞を契機に入院となった腸管子宮内膜症の5例(手術にて確定診断した3例と保存的治療で経過観察を行った2例)について,その患者の年齢,腸閉塞の既往,治療方法,その後のホルモン療法等について比較,検討した.【成績】年齢は20~40歳代(平均36.2歳)と性成熟期の女性であった.全例で主訴は腹痛,嘔吐であり,画像検査にて回腸末端を閉塞機転とする腸閉塞を認め,イレウスチューブ挿入が行われた.手術施行例3例の年齢は30代2例,40代1例であるのに対して,手術非施行例2例は20代と若年であった.手術施行例は全例で腸閉塞の既往を認め(1,2,2回),初回の腸閉塞発症から手術に至るまでの期間は1,4,36ヵ月であり,以前は保存的治療で改善していた.術式は腹腔鏡下回盲部切除術2例,開腹回盲部切除術,子宮,左卵巣摘出術1例であった.手術所見はいずれも回盲部に腸管壁肥厚による狭窄を認め,病理組織診断では漿膜および筋層内に内膜腺と内膜固有間質を島状に認めた.手術非施行例は以前からの月経に随伴する腹部症状と画像所見より本疾患を疑った.いずれも腸閉塞の既往はなく,2例ともイレウスチューブ挿入で改善した.手術施行例の術後治療は黄体ホルモン療法2例,低用量ピル内服1例であり,手術非施行例では低用量ピル内服1例,挙児希望のため投薬なしが1例であった.5例とも現時点では再発は認めていない.【結論】閉経前の女性の腸閉塞では腸管子宮内膜症の鑑別を念頭におく必要がある.腸閉塞をくり返す場合は手術適応となるが,保存的治療で軽快している症例においてはホルモン療法等で腸閉塞再発を予防できるかについて今後検討する必要があると考えられた.
索引用語 腸管子宮内膜症, 腸閉塞