セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

小腸(臨床2)

タイトル 消P-394:

カプセル内視鏡による血液維持透析患者の小腸病変の検討

演者 大森 鉄平(東京女子医大病院・消化器病センター消化器内科)
共同演者 中村 真一(東京女子医大病院・消化器病センター消化器内科), 高橋 麻依(東京女子医大病院・消化器病センター消化器内科), 合阪 暁(東京女子医大病院・消化器病センター消化器内科), 伊藤 亜由美(東京女子医大病院・消化器病センター消化器内科), 米澤 麻利亜(東京女子医大病院・消化器病センター消化器内科), 小西 洋之(東京女子医大病院・消化器病センター消化器内科), 飯塚 文瑛(東京女子医大病院・消化器病センター消化器内科), 白鳥 敬子(東京女子医大病院・消化器病センター消化器内科)
抄録 【目的】慢性腎不全に対して血液透析(HD)を行っている 患者で,貧血の進行が経験されることは少なくない. HD患者の貧血の原因として,原疾患に伴う腎性貧血などがあるが,消化管出血を認め,上下部消化管内視鏡検査を施行しても明らかな出血源が同定しえない(OGIB)ことも経験される. 今回,我々はカプセル内視鏡(CE)を用いて,貧血を有するOGIBのHD患者における小腸病変の有無について検討した.【対象と方法】2009年8月~2013年2月までの間に当院でOGIBの診断でCEを施行した240例中,持続する貧血を有するHD群29例[男性15人,女性14人,平均年齢62.86±12.86歳]と非HD群211例[男性117人,女性94人,平均年齢55.9±19.62歳]を対象とし,(1)非HD/OGIB例との差異を検討(2)HD例で認めた小腸病変の特徴と経過を検討した.【結果】HD群:びらん・潰瘍性病変12/29例(41.38%),血管性病変13/29例(44.83%),腫瘍性病変1/29例(3.45%),非HD群:びらん・潰瘍性病変73/211例(34.6%),血管性病変19/211例(9.0%),腫瘍性病変16/211例(7.58%)であり,HD群において血管性病変が有意に多かった(Fisher’s test:p<0.0001).びらん・潰瘍性病変12例の局在に偏りはなく,経過として粘膜保護剤の投与10例,NSAID休薬1例,転医1例であった.血管性病変13例も局在に偏りはなく,粘膜保護剤等の投与8例,経過観察4例,転医1例であった.また4例において小腸外血管性病変の合併を認めた.【結論】OGIBの診断基準を満たした持続する貧血を有するHD例の約半数に血管性病変が存在した. 非HD例の血管性病変検出率に比し極めて高く,原因不明の消化管出血を有するHD例における持続する貧血の原因の一つとして,小腸血管性病変が関与していると考えられた.
索引用語 カプセル内視鏡, 血液透析