セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(基礎1)

タイトル 消P-399:

ラット慢性腸炎モデルでの白血球除去療法の作用機序はCalcitonin Gene-Related Peptideに依存している

演者 山崎 博(久留米大・消化器内科)
共同演者 光山 慶一(久留米大・消化器内科DELIMITER久留米大・炎症性腸疾患センター), 小林 哲平(久留米大・消化器内科), 桑木 光太郎(久留米大・消化器内科), 長山 幸路(久留米大・消化器内科), 吉岡 慎一郎(久留米大・消化器内科), 竹田津 英稔(久留米大・消化器内科), 鶴田 修(久留米大・消化器内科DELIMITER久留米大・消化器病センター内視鏡診療部門), 佐田 通夫(久留米大・消化器内科)
抄録 背景と目的:白血球除去療法(LCAP)は活動期の潰瘍性大腸炎の標準的治療として広く実施されているが,その作用機序について不明な点が多い.我々はデキストラン硫酸(DSS)による急性大腸炎ラットモデルにLCAPを施行し,LCAPがカルシトニン遺伝子関連ペプチド (calcitonin gene-related peptide : CGRP)を誘導することで大腸粘膜血流を改善させることを報告した(Dig Dis Sci. 2010;55:596).今回,LCAPの治療効果発現におけるCGRPの意義を検討した.方法: HLA-B27 TG ratでは,生後数ヶ月より大腸炎,関節炎,皮膚炎などの自然発症がみられた.HLA-B27 transgenic ratに週1回計3回LCAPを施行し,臨床スコア,内視鏡スコア,骨髄細胞動員,腸管粘膜血流をShamカラム群と比較した.CGRPとその受容体であるreceptor activity-modifying protein-1 : RAMP1,calcitonin receptor-like receptor : CRLRの組織中mRNA発現をreal time-PCR法により測定した.LCAP施行時にCGRP拮抗剤(CGRP8-37)を経静脈投与しLCAPの効果に及ぼす影響を検討した.結果:HLA-B27 transgenic ratにLCAPを施行すると,Sham群に比べ臨床スコア(P = 0.049),内視鏡スコア(P = 0.034),骨髄細胞の誘導(P = 0.032),腸粘膜血流の改善(P = 0.015),CGRP mRNA発現の増加(P = 0.029)を認めた.RAMP1,CRLR mRNA発現には変化を認めなかった.LCAPの作用はCGRP拮抗剤の前投与によって抑制された.結論:LCAPの組織修復作用および抗炎症作用は,CGRPの誘導に依存していることが示唆された.今後,本モデルを用いて,LCAPの作用機序についてさらに検討を進めていく予定である.
索引用語 炎症性腸疾患, 白血球除去療法