セッション情報 |
ポスターセッション(消化器病学会)
大腸(基礎1)
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タイトル |
消P-401:選択的スプライシング制御因子SRSF3による大腸がん細胞の悪性形質変化誘導の解明
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演者 |
増田 清士(徳島大大学院ヘルスバイオサイエンス研究部・人類遺伝学) |
共同演者 |
西田 憲生(徳島大大学院ヘルスバイオサイエンス研究部・ストレス制御医学), 六反 一仁(徳島大大学院ヘルスバイオサイエンス研究部・ストレス制御医学), 井本 逸勢(徳島大大学院ヘルスバイオサイエンス研究部・人類遺伝学) |
抄録 |
【目的】選択的スプライシングは,様々な環境変化に対応して組織・細胞特異的に遺伝子を調節し,細胞のphenotypeを変化させる.ヒト遺伝子の約90%以上は選択的スプライシングを受けており,選択的スプライシングの異常と発がんや神経疾患の関連性が注目されている.Serine/arginine-rich splicing factor (SRSF) ファミリーは,選択的スプライシングを制御する因子の一つである.近年,SRSFは選択的スプライシングだけでなく,染色体リモデリング,転写,伸長反応,核外輸送や翻訳などを制御しており,発生,分化,細胞死などの重要な細胞機能を調節することが明らかになり,注目を集めている.なかでもSRSF3は乳がんや子宮頸がんなどで高発現しており,SRSF3は発がんや悪性化に重要であることが示唆される.本研究は,SRSF3が大腸がんに悪性形質変化を誘導するか検討を行った.【方法】大腸がん細胞株HCT116を用いて,SRSF3安定過剰発現細胞(HCT116-SRSF3)を樹立し,増殖能の変化,抗がん剤に対する耐性誘導について検討した.増殖能は増殖曲線,コロニー形成法および軟寒天コロニー形成法を用いて検討した.抗がん剤耐性はアドリアマイシンまたは5FU処理後の細胞数の変化およびMTT法を用いて検討した.アポトーシスの変化は,Cleaved PARPを用いて検討した.【結果】HCT116-SRSF3細胞はコントロール細胞と比べて,増殖曲線の変化は認められなかった.コロニー形成法で,HCT116-SRSF3細胞はコントロール細胞に比べて,コロニー形成能が誘導されていた.軟寒天コロニー形成法で,HCT116-SRSF3細胞はコントロール細胞と同様にコロニーを形成せず,足場非依存性増殖能の誘導は認められなかった.また,HCT116-SRSF3細胞は,抗がん剤誘導性アポトーシスが抑制され,抗がん剤耐性が誘導されていた.【結論】以上の結果から,SRSF3は大腸がんの悪性化を誘導すると考えられた. |
索引用語 |
選択的スプライシング, 悪性形質変化 |