セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(基礎1)

タイトル 消P-403:

Sevofluraneを用いた持続吸入麻酔によるTNBS腸炎モデルの実験精度向上について

演者 寺井 智宏(浜松医大・1内科)
共同演者 大澤 恵(浜松医大・光学医療診療部), 谷 伸也(浜松医大・1内科), 大石 槇司(浜松医大・1内科), 山田 貴教(浜松医大・1内科), 杉本 光繁(浜松医大・1内科), 岩泉 守哉(浜松医大・1内科), 古田 隆久(浜松医大・臨床研究管理センター), 杉本 健(浜松医大・1内科)
抄録 【目的】TNBS腸炎はTh1系優位の炎症性腸疾患の動物実験モデルとして広く使用されているが,注腸手技の精度によるばらつきが大きく,重度の腸炎発症によるマウスの死亡喪失が一定数存在する.今回我々は,吸入麻酔薬のSevofluraneを使用し,マウスのTNBS注腸中の体位を倒立保持し麻酔深度を調節する,ばらつきの少ない腸炎モデルの作成手技を発案したため報告する.【方法】Sevofluraneを用いた持続吸入麻酔装置を作成し,C57BL/6Jマウスを倒立保持し,150μlのTNBS/ethanol液を注腸し,麻酔深度を調節することで腸管内のTNBS停滞時間を制御した.比較対象としてAvertinを用いた腹腔内麻酔を使用した腸炎モデルを作成し,麻酔時間,TNBS停滞時間,体重変化,生存率を比較するとともに,腸炎誘導の最適条件を検討した.【成績】Sevofluraneを用いた持続吸入麻酔によるTNBS腸炎モデルでは,Avertinによる腹腔内麻酔に比較し,麻酔時間や体重変動のばらつきが有意に少なく,TNBSの腸管内滞留の厳密なコントロールが可能となった.単回投与の最適条件は2.25mg TNBS/55% ethanolの使用であり,組織学的にはday 7で顕著な炎症細胞浸潤が認められた.TNBSの腸内停滞時間を3群に分けて制御したところ,停滞時間の違いによる腸炎重症度の厳密な制御が再確認された.さらにTNBSの繰り返し4回投与モデルにおいても,均一な腸炎の作成が可能となり,マウスの死亡数の低下が期待された.【結論】Sevofluraneを用いた持続吸入麻酔装置により,ばらつきの少ないTNBS腸炎モデルの作成が可能となり,単回および繰り返し投与の両者において,今後の有用性が期待される.
索引用語 TNBS腸炎, マウス