セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(基礎2)

タイトル 消P-405:

機能性食品の肥満関連大腸発癌に対する抑制効果~EGCG,クルクミン,アスタキサンチンを用いた検討~

演者 河内 隆宏(岐阜大大学院・消化器病態学)
共同演者 清水 雅仁(岐阜大大学院・消化器病態学), 久保田 全哉(岐阜大大学院・消化器病態学), 森脇 久隆(岐阜大大学院・消化器病態学)
抄録 【目的】肥満,糖尿病を危険因子とする大腸癌は,肥満人口の増加に伴い深刻な健康問題となっている.緑茶カテキンであるEGCG,ウコンに含まれるポリフェノールのクルクミン(CUR),甲殻類の殻に含まれるカロテノイドのアスタキサンチン(AST)は,その抗酸化,抗炎症作用に加え,近年,癌や肥満に対する効果も注目されている機能性食品である.今回我々は,肥満,糖尿病を自然発症するdb/dbマウスを用いて,大腸腫瘍形成に対するEGCG,CURおよびASTの抑制効果を検討した.【方法】5週齢の雄db/dbマウスに,Azoxymethane(AOM 15mg/kg/週)を4週間投与した後,EGCG(0.01%,0.1%),CUR(0.2%,2%)およびAST(200ppm)をそれぞれ8週間投与し,大腸前癌病変であるaberrant crypt fociおよびβ-catenin accumulated cryptsの発生抑制効果を検討した.【結果】AOM単独群に比し,EGCG(0.01%,0.1%)投与群において,大腸前癌病変の発生は有意に低下していた.その機序として,血清インスリンおよびIGF-1濃度の低下,IGFRP-3の上昇,大腸粘膜でのIGF-1R,p-IGF-1R,β-catenin,COX-2蛋白の発現の低下,血清中性脂肪,レプチンの低下が認められた.CUR(0.2%,2%)投与群においても,大腸前癌病変の発生は有意に抑制され,大腸粘膜でのTNF-α,IL-6,COX-2 mRNAの発現低下,p-AMPK蛋白の発現増加,血清アディポネクチン上昇,血清レプチンの低下が認められた.また,ASTの投与でも,AOM単独群と比較し大腸前癌病変の発生は有意に抑制され,血清d-ROMの低下,尿中8-OHdG低下,大腸粘膜でのTNF-α,IL-6 mRNAの発現低下が認められた.【結語】EGCG,CURおよびASTが慢性炎症,酸化ストレスの亢進,アディポサイトカインの不均衡および脂質異常などの肥満に伴う病態を改善することで,肥満糖尿病に関連した大腸腫瘍形成を抑制する可能性が示唆された.
索引用語 大腸癌, 機能性食品