セッション情報 |
ポスターセッション(消化器病学会)
大腸(基礎2)
|
タイトル |
消P-406:DSS誘発大腸炎マウスの腸上皮障害におけるHif-1α/ iNOSとの関係性の検討
|
演者 |
西條 広起(東京慈恵会医大・消化器・肝臓内科DELIMITER東京慈恵会医大・解剖学) |
共同演者 |
有廣 誠二(東京慈恵会医大・消化器・肝臓内科), 加藤 智弘(東京慈恵会医大・消化器・肝臓内科DELIMITER東京慈恵会医大・内視鏡科), 田尻 久雄(東京慈恵会医大・消化器・肝臓内科DELIMITER東京慈恵会医大・内視鏡科) |
抄録 |
【目的】潰瘍性大腸炎(UC)は未だ原因不明であるが,病態形成に腸管粘膜の血流障害の関与が指摘されている.我々は,血流障害により大腸粘膜が低酸素状態に陥り組織障害が誘発されると考え,低酸素誘導因子(Hypoxia Inducible Factor(Hif)-1α)および,Hif-1αに制御され過剰発現により炎症を増悪させる誘導型一酸化窒素合成酵素(Induced Nitric Oxide Synthase:iNOS)に注目をした.今回UCのモデルマウスであるDextran sulfate sodium (DSS)大腸炎マウスを用いてHif-1α,iNOSの局在を観察し粘膜上皮障害との関連性を検討した.【方法】10週齢のC57BL/6Jマウス(n=24)に2%DSSを5日間投与した.投与開始日から連日4匹ずつ屠殺し,大腸切除標本を作製した.HE染色および,Hif-1α,iNOSの局在を免疫組織化学染色法,in situ hybridization法を用いて蛋白およびmRNAレベルで解析した.【結果】Hif-1αの発現は,Day0では管腔側の上皮に認め,時間経過とともに陰窩の底部に拡大していた.上皮のシグナルに加えDay2では粘膜下層の血管平滑筋に,Day3ではAuerbach神経叢の神経細胞にも発現が認められた.上皮剥離の生じるDay4-Day5ではシグナルの低下が認められた.一方,iNOSの発現はDay0ではシグナルは認めなかったが,Day3においてAuerbach神経叢の神経細胞に,Day4-Day5において粘膜上皮,好中球にシグナルが認められた.これらの発現は,蛋白およびmRNAレベルで一致していた.【結論】Hif-1αの発現分布より,DSS大腸炎マウスの上皮障害は血流傷害による低酸素に強く影響を受けることが示唆された.Day4-Day5におけるHif-1αのシグナル低下は,上皮が剥離することにより粘膜固有層に鬱滞した血液が管腔内に漏出することで大腸の血流が改善したことによるものと考えた.また,Hif-1α,iNOSの発現分布より神経細胞の低酸素状態がiNOSを誘導し腸炎の悪化に関与していることが示唆された. |
索引用語 |
Hif-1a, iNOS |