セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(基礎2)

タイトル 消P-409:

炎症性腸疾患の栄養療法としての中鎖脂肪酸の有用性の検討

演者 河野 寛(山梨大・1外科)
共同演者 古屋 信二(山梨大・1外科), 原 倫生(山梨大・1外科), 平山 和義(山梨大・1外科), 藤井 秀樹(山梨大・1外科)
抄録 【目的】われわれは,これまで中鎖脂肪酸(MCT)投与による消化管の免疫増強効果と,抗炎症性作用を報告してきた.一方,ω-3系脂肪酸の炎症性腸疾患における有用性が報告されている.そこで今回,MCTならびにω-3系脂肪酸,ω-6系脂肪酸の炎症性腸疾患に与える影響を,ヒトクローン病の炎症性腸疾患動物モデルを作成し比較検討した.【方法】雄性Wistar種ラットに,MCT + N-6FA + N-3FA高含有栄養剤(A群)とMCT + N-6FA高含有栄養剤(B群)またはMCT + N-3高含有栄養剤(C群)N-3FA + N-6FA高含有栄養剤(D群)を2週間投与した後に,トリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)を注腸し,炎症性腸疾患動物モデルを作成した.TNBS投与5日後に大腸を採取し,大腸の炎症の程度を病理組織学的に検討.また,大腸組織の炎症性サイトカインならびにケモカインの発現をELISA法により検討した.【結果】結果:抹消血中のエンドトキシン値はB群,C群,D群,A群順に高値を呈していた.また,TNBS投与により大腸組織でのIL-1β,IL-6値はB群,C群,D群,A群順に高値を呈し,TNF-αはB群で最も高値を呈していた.大腸組織でのミエロペルオキシダーゼ活性はA群で最も低値であった.その結果,TNBS誘発大腸炎はB群でもっとも増強し,C群,D群の順で,A群において最も軽減された.【結論】ω-3系脂肪酸はω-6系脂肪酸と比較し,炎症性腸疾患改善効果を認めた.さらに,MCTの抗炎症効果はω-3系脂肪酸ならびにω-6系脂肪酸と共に使用することで,その効果が増強した.炎症性腸疾患の栄養療法としてのMCTの有用性があらためて明らかとなった.
索引用語 中鎖脂肪酸, 炎症性腸疾患