セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(診断1)

タイトル 消P-413:

クロストリジウム・ディフィシル感染症の診断と重症化予測因子の検討

演者 山本 健(済生会松山病院・内科)
共同演者 村上 英広(済生会松山病院・内科), 中口 博允(済生会松山病院・内科), 久米 美沙紀(済生会松山病院・内科), 稲田 暢(済生会松山病院・内科), 梅岡 二美(済生会松山病院・内科), 沖田 俊司(済生会松山病院・内科), 宮岡 弘明(済生会松山病院・内科), 岡田 武志(済生会松山病院・内科)
抄録 【目的】クロストリジウム・ディフィシル感染症(CDI)は院内発症感染症として世界的な問題である.Society for Healthcare Epidemiology of America (SHEA)とInfectious Diseases Society of America (IDSA)は2010年にガイドラインを発表しているが,本邦における詳細は不確実である.本研究の目的はCDIの診断予測因子と重症化予測因子を同定することである.
【方法】対象は2010年9月1日から2012年2月29日に当院(170床.二次救急施設.)に入院し,CD toxin検査を施行された入院患者157名.複数回施行された患者は1回目のみ組み入れた.
1.診断予測因子同定のためCD toxin陽性と陰性の2群に分け,年齢,性別,血清アルブミン値(ALB),C-reactive protein値(CRP),入院後日数,Performance status(PS),発熱の有無,下痢の有無,抗菌薬使用の有無,血液透析の有無につき多変量解析を行った.
2.重症化予測因子同定のためCDI患者を軽症と重症の2群に分けて同様に検討した.なお,軽症と重症はSHEA/IDSAのガイドライン(重症:血中白血球15000/μL以上または血清Crがベースラインの1.5倍以上,複雑性:低血圧,ショック,イレウス,巨大結腸症のいずれか)に従った.
P<0.05(両側)を有意とした.
【成績】平均年齢76.9歳,男性70:女性87.CD toxin陽性は31人で,うち重症は7人であった.下痢は96.2%にみられた(151/157).
1.診断予測に多変量解析で3つの因子が抽出された:発熱 (Odds Ratio: 4.08, 95% Confidence Interval: 1.40-12.0), PS (OR: 2.83, 95% CI: 1.37-5.83), 年齢(OR: 1.04, 95% CI: 1.01-1.12).なお抗菌薬使用歴は有意でなかった.
2.重症化予測に単変量解析で血液透析,発熱,ALBが同定されたが,多変量解析では発熱のみ抽出された(OR: 53.6, 95% CI: 1.10-2602).
【結論】CDIの診断予測因子として院内発症の下痢に加え発熱,PS,年齢が重要である.さらに発熱は重症度を反映していると考えられる.
索引用語 クロストリジウム・ディフィシル感染症, 感染性腸炎