セッション情報 | ポスターセッション(消化器病学会)大腸(診断1) |
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タイトル | 消P-415:ニコランジルによると思われる下部消化管潰瘍の検討 |
演者 | 大久保 理恵(駿河台日本大病院・消化器肝臓内科) |
共同演者 | 中島 典子(駿河台日本大病院・消化器肝臓内科), 神津 馨里奈(駿河台日本大病院・消化器肝臓内科), 白木 聡子(駿河台日本大病院・消化器肝臓内科), 横田 崇(駿河台日本大病院・消化器肝臓内科), 久野木 直人(駿河台日本大病院・消化器肝臓内科), 中川 太一(駿河台日本大病院・消化器肝臓内科), 小林 駿(駿河台日本大病院・消化器肝臓内科), 西山 竜(駿河台日本大病院・消化器肝臓内科), 赤井 祐一(駿河台日本大病院・消化器肝臓内科), 大谷 豪(駿河台日本大病院・消化器肝臓内科), 田中 直英(駿河台日本大病院・消化器肝臓内科), 森山 光彦(駿河台日本大病院・消化器肝臓内科) |
抄録 | ニコランジルは狭心症治療薬として用いられていて,その薬理作用は硝酸薬と同様に冠血管平滑筋のグアニル酸サイクラーゼ活性化によるcyclic‐GMP産生量を増大することで冠血管拡張作用を有する.海外では本剤による口腔,消化管や皮膚などの潰瘍発症の報告があるが,本邦では消化管潰瘍の報告は少ない.一方消化器内視鏡検査において原因不明の潰瘍として加療されている症例の中に本剤が関与した症例も含まれている可能性がある.よって我々は当院においてニコランジル投与症例における下部消化管潰瘍症例について検討した.方法:2009年3月~2012年11月までの間に当院でニコランジルを処方された外来及び入院患者898名について検討を行った.このうち便潜血反応陽性や大腸ポリープの経過観察などのため下部内視鏡検査を施行されたのは161名で下部内視鏡所見について後ろ向きに検討した.結果:大腸に潰瘍病変を認めた症例は2症例であった.症例1:60代女性.狭心症と脂質異常症のため循環器科通院中.内服薬はニコランジル,アスピリンや硝酸イソソルビド等.便潜血反応陽性のため下部内視鏡検査を行い直腸潰瘍を認めた.症例2:80代男性.狭心症と高血圧のため循環器科通院中.内服薬はニコランジル,アスピリンやベニジピン等.経過中に貧血を認め消化管精査をした.結果,胃潰瘍(A2)と直腸潰瘍を認めた.考察:本剤投与中において下部消化管精査のうち2.4%に潰瘍が認められた.海外からは本剤による下部消化管潰瘍には特徴的な所見の報告はなく,よってこの2例が本剤によるものとは断定できなかった.しかし瘻孔形成などの重篤な報告もあり,投薬中止のみによっても軽快していることから,消化管潰瘍の発症にはこの薬剤の投与による可能性も考慮し,積極的な投薬内容の変更や休薬の検討が必要となりえる.今後も更なる検討が必要と思われる. |
索引用語 | ニコランジル, 消化管潰瘍 |