セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(診断2)

タイトル 消P-420:

消化管アミロイドーシスの診断-AA型アミロイドーシスの経験から

演者 相澤 宏樹(宮城県立がんセンター・消化器科)
共同演者 内海 潔(宮城県立がんセンター・消化器科), 内藤 健夫(宮城県立がんセンター・消化器科), 塚本 啓祐(宮城県立がんセンター・消化器科), 及川 智之(宮城県立がんセンター・消化器科), 虻江 誠(宮城県立がんセンター・消化器科), 野口 哲也(宮城県立がんセンター・消化器科), 鈴木 眞一(宮城県立がんセンター・消化器科), 鈴木 雅貴(宮城県立がんセンター・消化器科), 小野寺 博義(宮城県立がんセンター・消化器科)
抄録 【背景】アミロイドーシスは異常蛋白であるアミロイドが全身に沈着し多臓器の機能障害を惹起する疾患である.消化管アミロイドーシスの症状は出血,蛋白漏出,腸閉塞・穿孔等があげられる.消化管アミロイドーシスを来すのは反応性AAアミロイドーシス(以下AA型)と免疫細胞性ALアミロイドーシス(以下AL型)が大部分である.AL型の患者数は約500名と推定されているが,AA型は数千から数万名の患者が(恐らく潜在的に)存在すると推定されている.AA型の発症機序は,何らかの慢性炎症による種々のサイトカインの影響で肝細胞から急性期蛋白質であるserum amyloid A蛋白が産生され,これが血液中を循環し標的臓器で水解しAA蛋白として沈着するというものである.原因となる慢性炎症は,慢性関節リウマチが約60%を占め最多で,その他にクローン病や結核等がある.確立された根治的治療法は存在せず,個人差はあるが基本的に予後不良であることから,なるべく早期にアミロイドの沈着を発見し,炎症のコントロールによってそれ以上の沈着を防ぐことが基本方針となる.当科で経験した症例を通して注意すべき所見等をお示ししたい.【症例】49歳女性,主訴は血便.既往歴・家族歴に特記事項なし.【検査所見】血液検査所見,胸腹部CTでは異常を認めない.下部消化管内視鏡で全大腸にわたって島状の血管透見消失,ヒダの浮腫,粘膜の脆弱性及び出血を認めた.直腸からの生検で粘膜固有層及び粘膜筋板付近にエオジンで均一に染色される無構造領域を認め,同部位はCongo-red染色で陽性であった.また,抗アミロイド蛋白A抗体染色陽性であったことからAA型アミロイドの沈着と考えられた.【結語】消化管アミロイドーシスは特異的な所見に乏しい為,診断は難しく潜在的患者は多いと考えられる.慢性炎症を持つ患者を診療する際に,消化器医がアミロイドーシスを念頭において精査を行っていく事が重要であると考えられる.
索引用語 アミロイドーシス, AA型