セッション情報 | ポスターセッション(消化器病学会)大腸(クローン病1) |
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タイトル | 消P-423:マウス腸炎モデルの骨質低下に対する成分栄養療法の抑制作用・2 -IL-10KO T細胞移入腸炎モデルによる検討- |
演者 | 檀上 景子(味の素製薬(株)・創薬研究センター) |
共同演者 | 池上 由佳(味の素製薬(株)・創薬研究センター) |
抄録 | 【目的】クローン病における骨質の低下は約50%に認められるとされ,QOLの観点から問題と考えられる.IL-10KOマウスでは腸炎の発症に伴い骨質の低下を示すことが報告されているが,本モデルでは長期間の観察が必要かつバラツキが大きく,治療薬等の評価が難しい.我々は,短期間で腸炎の発症を認めるIL-10KO T細胞移入モデル(IL-10KOTTM)で骨質低下を示すことを見出し,「エレンタール」(ED)の腸炎および骨質低下に対する作用を明らかにすることを目的に検討を行った. 【方法】1.骨質低下の経時変化:IL-10KOTTMは,T細胞移入より5週間,経時的に腸炎の発症および骨質の変化を評価した.腸炎の発症は腸管重量で,骨質の変化は大腿骨遠位のμCT検査を行い確認した.2.EDの作用評価:移入時より4週間EDを摂取させ,腸炎抑制効果および骨質低下に及ぼす作用を評価した. 【成績】移入後2週間から腸管重量の増加を認め,海綿骨骨量は同様のタイミングで低下を認めるが,骨梁構造の悪化はやや遅れて4週間以降顕著となった.骨質低下は腸炎の悪化と相関し,また腸炎発症早期より骨質低下を認めることが明らかとなった.骨吸収,骨形成マーカー解析から,骨質低下は骨代謝回転が低下した結果と考えられ,臨床に類似したメカニズムにより生じると考えられた.一方,皮質骨については悪化を認めず,短期間の評価モデルであり体重低下が顕著ではないことが原因と考えられた.次にIL-10KOTTMを用い,EDの作用を評価した.EDは腸炎の発症を抑制するとともに骨量低下,骨梁構造悪化ともに抑制することが示された. 【結論】IL-10KO TTMは短期間で腸炎に伴う骨質低下を評価できるモデルであることが確認された.さらにED投与により骨質低下抑制効果が確認された.EDの抗炎症作用および食餌抗原除去,腸内細菌数低下作用による腸炎抑制効果により,骨質低下の進展が抑制された結果と考えられ,臨床で認められる成長障害抑制効果のメカニズムのひとつである可能性が示唆された. |
索引用語 | 栄養療法, クローン病 |