セッション情報 | ポスターセッション(消化器病学会)大腸(クローン病1) |
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タイトル | 消P-426:クローン病手術例の術前栄養管理:有用性と限界 |
演者 | 高橋 賢一(東北労災病院・大腸肛門病センター) |
共同演者 | 舟山 裕士(東北労災病院・大腸肛門病センター), 生澤 史江(東北労災病院・大腸肛門病センター), 徳村 弘実(東北労災病院・外科), 豊島 隆(東北労災病院・外科), 武者 宏昭(東北労災病院・外科), 西條 文人(東北労災病院・外科), 松村 直樹(東北労災病院・外科), 鈴木 洋(東北労災病院・外科), 武藤 満完(東北労災病院・外科), 安本 明浩(東北労災病院・外科), 又吉 信貴(東北労災病院・外科), 澤田 健太郎(東北労災病院・外科), 柴原 みい(東北労災病院・外科), 千年 大勝(東北労災病院・外科), 望月 保志(東北労災病院・外科) |
抄録 | [目的]クローン病(CD)手術例では低栄養を呈することが多いため術前の栄養管理が重要となる.完全静脈栄養(TPN)や経腸栄養(ED)が行われるが,その有用性と限界を明らかとするため本検討を行った. [方法]2007年~2012年までのCD手術例のうち,術前に2週間以上の絶食とTPNまたはEDを行った32例を対象とした.入院時から手術直前までの血液生化学的栄養指標の推移を調査し,病型や手術適応などの背景因子により栄養改善効果に差異が見られるか検討を行った. [成績]病型は小腸型が6例,大腸型が1例,小腸大腸型が25例であった.手術適応は膿瘍や瘻孔といった穿孔型が17例,狭窄などの非穿孔型が15例であった.栄養療法施行期間は平均39日であり,TPNが26例,ENが3例,両者の併用が3例であった.ヘモグロビン,アルブミン(Alb),コリンエステラーゼ,プレアルブミン(PA),レチノール結合蛋白は有意に上昇したが,末梢血総リンパ球数,総コレステロール,トランスフェリンでは変化を認めなかった.手術適応別に検討すると,穿孔型では非穿孔型と比較し手術直前のAlbが低い傾向で(3.4 vs 3.8 g/dl, p=0.05),PAが有意に低値であった(21.4 vs 26.4 mg/dl, p<0.05).穿孔型では非穿孔型と比較し,手術直前のCRPが有意に高値であり(p<0.05),非穿孔型では全例で1mg/dl未満であったのに対し,穿孔型では35%の症例で1以上であった.CRPとAlbの間には有意の逆相関が認められた(p<0.001).病型別,栄養投与経路別に栄養指標の検討を行ったが有意の差は認めなかった.小腸病変の長さと栄養指標の間にも有意の相関は認めなかった. [結論] 栄養療法はCD病変の炎症の沈静化と栄養状態の改善に有効と考えられた.ただし穿孔型では炎症所見の改善の乏しい症例が存在し,こうした症例では栄養アセスメント蛋白の改善効果は限定的であった. |
索引用語 | クローン病, 栄養管理 |