セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(クローン病2)

タイトル 消P-429:

活動期クローン病に対するアダリムマブ療法における成分栄養剤併用の有用性の検討

演者 園田 光(社会保険中央総合病院・炎症性腸疾患センター)
共同演者 吉村 直樹(社会保険中央総合病院・炎症性腸疾患センター), 唯見 徳馬(社会保険中央総合病院・炎症性腸疾患センター), 河口 貴昭(社会保険中央総合病院・炎症性腸疾患センター), 酒匂 美奈子(社会保険中央総合病院・炎症性腸疾患センター), 高添 正和(社会保険中央総合病院・炎症性腸疾患センター)
抄録 【目的】生物学的製剤アダリムマブ(ADA)の保険認可により活動期クローン病(CD)患者の寛解導入率は向上したが維持療法中の効果減弱,再燃も少なくない.既存の抗体製剤インフリキシマブ(IFX)による寛解導入後の維持療法においては成分栄養剤(ED)併用の有用性が報告されているが,ADA療法におけるED併用の有用性についての報告はない.今回,ADAを導入した活動期CD症例におけるED併用の有用性について検討した.【方法】2010年12月以降に当院にてADAを導入した活動期CD症例78例(平均年齢:33.3±10.8歳;平均CDAI:255±75)を対象として4週後の寛解導入(CDAI<150)率および寛解導入療法におけるED併用効果についてCDAIを用い検討した.次に,寛解導入が有効で維持療法に移行した症例のED併用の有無による52週までの非再燃率をKaplan-Meier法にて比較検討した.さらに,性別,年齢,罹病期間,病型,免疫調整薬併用の有無,IFX治療歴の有無ついて多変量解析を行い,寛解維持に関連する因子を検討した.【成績】ADA導入4週後に78例中50例(64.1%)が寛解導入できた.ED併用の有無で検証するとED併用(E)群は44例(平均:522±260kcal/日),非併用(NE)群は34例あり,各寛解導入率はE群26/44(59.1%),NE群24/34(70.6%)であり2群間で有意差を認めなかった.寛解導入後に維持療法に移行した50例を検証するとE群は24例(平均:540±260kcal/日),NE群は26例あり2群間で維持療法中の非再燃率を検証するとE群はNE群に比し有意に高かった(p<0.05).また,他の背景因子を検証するとIFX治療歴の有無以外の因子は寛解維持に影響を与えなかったが,IFXナイーブ(IN)群とスイッチ(IS)群に分け検証するとIN群はIS群に比し52週までCDAIは有意に低い(p<0.05)値で推移していた.【結論】活動期CD症例の寛解導入にADAは有効であるが,特に,IFXナイーブ症例にED療法を併用することにより効果減弱の抑制と寛解維持率のさらなる向上が期待できることが示唆された.
索引用語 クローン病, アダリムマブ