セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(クローン病2)

タイトル 消P-432:

クローン病肛門部病変に対する重症度の検討

演者 石橋 由紀子(福岡大筑紫病院・外科)
共同演者 二見 喜太郎(福岡大筑紫病院・外科), 東 大二郎(福岡大筑紫病院・外科)
抄録 はじめに:クローン病に高頻度に合併する肛門部病変に対する治療法の選択には重症度の評価が必要となる.今回自験例から重症度分類を試みて臨床的な有用性を検討した.対象・方法:2012年1月から12月までに肛門部病変の診断・治療を行ったクローン病49例を対象とした.平均年齢は37.7歳(13~61歳),男女比は31対18であった.重症度分類としては,自他覚症状と病態から分類されたPDAI(Perianal Crohn’s Disease Activity Index: Irvine EJ. 1995)の5項目のうちSexual activityをSocial activityに改変したmodified PDAIを用いた.検索項目はmodified PDAIとCDAI(Crohn’s Disease Activity Index)との関連,外科的治療法の選択状況からみたmodified PDAIの有用性を検討した.さらにこの分類には含まれていない直腸病変の関連性を検索し,重症度分類の1項目に加えるべきか否かを検討した.結果:49例の肛門部病変は重複を含めて痔瘻40,膿瘍11,硬結16,裂肛17,潰瘍7,皮垂21,狭窄18,括約筋緊張低下7,肛門部癌3例であった.modified PDAIの平均値は8.5±5.1(1~18)で,CDAIとの関連ではmodified PDAI 1~5で237.7,6~10で188.4,11~15で242.6,16以上で382.9と相関はみられなかった.外科治療としては,なしで2.6,肛門拡張9.3,膿瘍切開12.5,seton法ドレナージ11.1,人工肛門造設16.5で5.0以下の15例中外科治療は1例だけであった.直腸病変の検討では活動性病変例で13.8,非活動性病変(アフタ・びらん)9.8,なし5.4であった.結語:肛門部病変の重症度はCDAIでの評価は難しく,modified PDAIは外科的治療法の選択にも有用な重症度の指標となることが示唆された.また直腸病変の活動性は肛門部病変の重症度に関連しておりmodified PDAIに直腸病変を加味した分類は外科治療だけでなく適切な内科治療を導くためにもさらに有用な重症度分類になるものと考える.
索引用語 クローン病, 肛門部病変