セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(クローン病3)

タイトル 消P-437:

クローン病の臨床経過における喫煙の影響についての検討

演者 杉本 健(浜松医大・1内科)
共同演者 岩泉 守哉(浜松医大・1内科), 山田 貴教(浜松医大・1内科), 杉本 光繁(浜松医大・1内科), 金岡 繁(浜松医大・分子診断学), 古田 隆久(浜松医大・臨床研究管理センター), 大澤 恵(浜松医大・光学医療診療部)
抄録 【目的】喫煙はクローン病(CD)の病勢を悪化させることが知られているが,喫煙の有無が抗TNFα抗体等のCDに対する既存の治療に対してどのように影響を及ぼすのかについては十分な検討がなされていない.今回我々は喫煙がCDの臨床経過に及ぼす影響について検討したので報告する.【方法】当院にて2002年1月から2013年2月まで加療を行ったCD患者85名(男性53名,女性32名,年齢14歳~83歳)を非喫煙患者(A群),喫煙継続患者(B群),治療経過中に禁煙した患者(C群)に分類し,臨床的特徴,治療経過についてretrospectiveに比較検討した.【成績】CD患者85名中A群は51名(60%),B群は19名(22%),C群は15名(18%)であった.手術移行率はA群で52.9%,B群で73.7%であり両群間に統計学的な有意差は認めなかったが,累積手術回数はA群が0.65±0.74回,B群が1.31±1.25回でありB群において有意に高かった.CD診断から初回手術までの期間はA群で7.0±7.1年,B群で4.2年±5.6年でありB群で短い傾向にあった.抗TNFα製剤使用率はA群が51.0%,B群が36.8%で統計学的には両群間に有意差は認めなかったが,抗TNFα製剤投与期間中の手術回数はA群が0.1回/年,B群で1.2回/年でB群において手術回数が多い傾向がみられた.B群において非手術例と手術例でのBrinkman indexには差はみられなかった.C群において禁煙前の手術回数は0.08回/年だが禁煙後は0.03回/年と改善傾向がみられた.【結論】CDにおいては,喫煙継続により累積手術回数が増加する危険性があり,生物学的製剤の治療効果にも影響を与える可能性が示唆された.また,喫煙中の患者に禁煙を指導することによりその後の手術回数を減少できる可能性が示唆された.
索引用語 クローン病, 炎症性腸疾患