セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(潰瘍性大腸炎1)

タイトル 消P-445:

ムチンコア蛋白MUC5ACは潰瘍性大腸炎の疾患活動性マーカーとして有用である -Tacrolimusを導入した中等症・重症例での検討-

演者 溝下 勤(名古屋市立大大学院・消化器・代謝内科学)
共同演者 谷田 諭史(名古屋市立大大学院・消化器・代謝内科学), 尾関 啓司(名古屋市立大大学院・消化器・代謝内科学), 塚本 宏延(名古屋市立大大学院・消化器・代謝内科学), 片野 敬仁(名古屋市立大大学院・消化器・代謝内科学), 林 則之(名古屋市立大大学院・消化器・代謝内科学), 田中 守(名古屋市立大大学院・消化器・代謝内科学), 濱野 真吾(名古屋市立大大学院・消化器・代謝内科学), 西脇 裕高(名古屋市立大大学院・消化器・代謝内科学), 海老 正秀(名古屋市立大大学院・消化器・代謝内科学), 森 義徳(名古屋市立大大学院・消化器・代謝内科学), 久保田 英嗣(名古屋市立大大学院・消化器・代謝内科学), 片岡 洋望(名古屋市立大大学院・消化器・代謝内科学), 城 卓志(名古屋市立大大学院・消化器・代謝内科学)
抄録 【目的】炎症性腸疾患の薬物治療を適切に行うため疾患活動性を予測・把握する因子の解析が重要であるが,まだまだ不明な点が多い.我々は以前より消化器疾患の粘液形質に着目して研究を進めてきたが,今回は腸管の炎症性粘膜で異所性発現が認められる胃型粘液形質マーカーMUC5ACを,中等症・重症潰瘍性大腸炎(UC)症例の治療前後の内視鏡生検組織で検索し疾患活動性との関連を解析した.【方法】2009年7月~2012年12月までに当院で1カ月以上Tacrolimusを投与し得た中等症・重症UC患者{Mayo scoreによるDisease Activity Index (DAI)が7点以上}35例の中で,治療前・治療3カ月後の内視鏡生検組織が得られた18例でMUC5AC発現を免疫組織化学的に検索し,DAI・endoscopic activity index(EAI)などと比較検討した.治療への反応性については,Ogata らの論文(Gut, 55: 1255-1262, 2006.)に準じて「complete response」,「partial response」,「treatment failure」と判定した.【成績】1. complete response群(n=3)では,全例でMUC5AC発現が陰性化しており,内視鏡的にも寛解(EAI=0)であった.2. treatment failure群(n=6)では,83%(5/6)でMUC5AC発現が増強もしくは高発現状態で維持されており,すべての症例でEAIスコアーが2以上であった.3. partial response群(n=9)では,89%(8/9)でMUC5AC発現の陰性化(n=5)・MUC5AC発現の減弱(n=3)が確認された.EAIスコアーの平均値は,治療前2.6から治療3か月後0.8に改善した.4. MUC5AC発現とEAIには,統計学的に有意な相関が認められた(P<0.05).【結論】UC症例の大腸粘膜でのMUC5AC異所性発現の陰性化・減弱が,内視鏡的な寛解・改善と相関していた.MUC5ACがUCの疾患活動性の指標として有用である可能性がある.
索引用語 MUC5AC, 潰瘍性大腸炎