セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(潰瘍性大腸炎1)

タイトル 消P-448:

難治性潰瘍性大腸炎に対するインフリキシマブの治療成績と効果予測因子の検討

演者 宮川 麻希(札幌厚生病院・IBDセンター)
共同演者 那須野 正尚(札幌厚生病院・IBDセンター), 田中 浩紀(札幌厚生病院・IBDセンター), 本谷 聡(札幌厚生病院・IBDセンター), 今村 哲理(札幌厚生病院・IBDセンターDELIMITER札幌厚生病院・1消化器科(胃腸科))
抄録 【背景と目的】難治性潰瘍性大腸炎(UC)においてインフリキシマブ(IFX)は有用な治療オプションであるが,効果予測因子は十分に検討されていない.今回我々は,難治性UC に対するIFXの治療成績と効果予測因子を検討した.【方法】2005年7月から2012年1月の間にIFXが投与された難治性UCのうち,Clinical Activity Index (CAI; Lichtiger index) が5以上であった77例を対象とした.CAIが4以下となった症例を寛解と定義し,2週,6週,1年後の寛解率を検討した.また,Kaplan-Meier法を用いて累積非手術率を検討した.さらに,寛解率・累積非手術率に影響する背景因子について,それぞれロジスティック回帰分析・多変量Cox回帰分析を用いて検討した.【結果】患者背景は,男性42例・女性35例,平均年齢36.2歳,平均罹病期間5.7年,平均CAI 9.5,平均CRP 1.2mg/dl,全大腸炎型44例・左側大腸炎型30例・直腸炎型2例,ステロイド抵抗例43例・依存例32例であった.併用療法は,免疫調節薬(アザチオプリン/6-メルカプトプリン)61例,5-ASA製剤68例,プレドニゾロン37例(平均投与量 8.5mg)であり,68例で血球成分除去療法,33例でシクロスポリンまたはタクロリムス(カルシニューリン阻害剤)による既治療が施行されていた.寛解率は2週45%,6週55%,1年47%であった.多変量ロジスティック回帰分析において,6週後の寛解率はカルシニューリン阻害剤既治療例において有意に不良であり,免疫調節薬併用例において有意に良好であった.累積非手術率は1年75%,3年70%,5年65%であり,多変量解析Cox回帰分析ではカルシニューリン阻害剤既治療歴が有意な予後不良因子であった.【結論】難治性UCに対し,IFXは寛解導入・維持・手術回避において有用であり,治療成績向上のためには免疫調節薬の併用が重要である可能性が示唆された.一方,カルシニューリン阻害剤既使用例においては治療効果が十分に得られない可能性があり注意が必要である.
索引用語 潰瘍性大腸炎, インフリキシマブ