セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(潰瘍性大腸炎1)

タイトル 消P-451:

潰瘍性大腸炎に対する血球成分除去療法治療効果予測因子としての温感の意義とメカニズムについての検討

演者 飯塚 政弘(秋田赤十字病院附属あきた健康管理センターDELIMITER秋田赤十字病院・消化器内科)
共同演者 相良 志穂(秋田赤十字病院附属あきた健康管理センター), 衛藤 武(秋田赤十字病院・消化器内科)
抄録 【目的】潰瘍性大腸炎(UC) 難治例に対して血球成分除去療法(CAP)が広く行われ,その有用性が評価されていている.われわれは,以前よりCAP治療効果予測因子としてCAP施行時の“温感”の有用性を報告してきた.今回症例を追加するとともに“温感”の生じるメカニズムについて,特に皮膚血流量の指標となる皮膚灌流圧に注目して解析を行った.【方法】2002年6月ー2012年12月,42例のUC難治例(男21, 女21, 平均年齢37.6歳)に対して70回(1回1~2クール)CAP治療を施行した.このうちの34例(CAP 55回)を対象に,(1)CAP施行中の温感の有無と寛解率について解析,(2)赤外線体温計でCAP施行時の手足の皮膚温の変化を観察,(3)4例はレーザー血流計(SensiLase(TM) PAD3000)を用いてCAP施行時の足背部における皮膚灌流圧の変化を解析した.【成績】(1)CAP施行時に温感を認めた症例では86.4%が寛解に至ったが,温感を認めなかった症例の寛解率は44.4%であった(p=0.01859).(2)CAP施行前の平均手掌皮膚温は35.2度,CAP開始30分後は35.8度,CAP終了時は35.6度でCAP開始後有意に皮膚温の上昇が認められた(p<0.0001, p=0.0107).同様に足底皮膚温も,CAP開始前に比べ開始30分後,終了時において有意に上昇が認められた(p<0.001, p=0.015).(3)CAP開始前の平均皮膚還流圧は64.4mmHgであったが,CAP開始後上昇を示し,特にCAP終了時に顕著な上昇(76.9mmHg)を示した.【結論】CAP施行時の温感の有無はCAP治療効果予測因子として有用と考えられた.温感・皮膚温上昇が生じる機序として局所の血流量増加が関与している可能性が示唆され,この結果はCAPの新たな可能性をも示唆するものと考えられた.
索引用語 潰瘍性大腸炎, 血球成分除去療法