セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(潰瘍性大腸炎2)

タイトル 消P-452:

潰瘍性大腸炎関連遺伝子多型の寛解維持への影響

演者 浅野 光一(九州大・病態機能内科DELIMITER九州大病院・光学医療診療部)
共同演者 梅野 淳嗣(九州大・病態機能内科), 平野 敦士(九州大・病態機能内科DELIMITER理化学研究所・横浜研究所・ゲノム医科学研究センター), 前畠 裕司(九州大・病態機能内科), 森山 智彦(九州大・病態機能内科), 江崎 幹宏(九州大・病態機能内科), 中村 昌太郎(九州大先端医療イノベーションセンター), 松本 主之(九州大・病態機能内科), 北園 孝成(九州大・病態機能内科)
抄録 【目的】本邦潰瘍性大腸炎(以下UC)の疾患関連遺伝子としてHLA-DRB1*1502,rs6671847 (FCGR2A),rs17085007 (13q12),rs2108225 (SLC26A3)が同定されている.しかし,UCの臨床経過への影響は不明である.【方法】当科にて2006年5月から2008年2月に遺伝子解析を行ったUC患者のうち,DNA採取時に寛解であった109名を対象とした.上記遺伝子多型のジェノタイプはインベーダー法を用いて決定した.寛解を臨床的非活動性(UCAI120未満),ステロイド投与量20 mg /日未満,寛導入療法(シクロスポリン,インフリキシマブ,タクロリムス,血球除去療法)非施行の全てを満たすものとし,DNA採取後も寛解を維持できたものを寛解維持,それ以外は再燃とした.ジェノタイプ別の再燃率はコックス比例ハザードモデルを用いて解析し,交絡因子として性,年齢,罹患期間,病型,家族歴,喫煙歴,飲酒歴,サイトメガロウイルス感染歴などの臨床的特徴と薬剤歴(全身ステロイド,アミノサリチル酸製剤,免疫調整薬,生物学的製剤)を考慮した.【成績】4つの遺伝子多型のマイナーアレルの頻度はHLA-DRB1*1502が30.7%,rs6671847が11.9%,rs17085007が30.3%,rs2108225が28.4%であった.平均観察期間35か月で45%が再燃した.交絡因子で調整後の再燃率はrs6671847のGアレルキャリアは非Gアレルキャリアよりも優位に高く(HR, 2.56; 95%CI, 1.30-5.01; p=0.007), rs17085007のCT型(HR, 2.23; 95%CI, 1.12-4.46; p=0.02)およびTT型(HR, 3.53; 95%CI, 1.32-9.48; p=0.01)はCC型に比べ有意に高かった.これらの遺伝子多型のいずれか一つをリスクアレルとして有する例は2.71倍(p=0.009),両者を有する例は5.95倍(p=0.0003)再燃のリスクが高かった.【結論】UC関連遺伝子多型であるrs6671847およびrs17085007と再燃率との間に有意な関連を認めた.
索引用語 潰瘍性大腸炎関連遺伝子多型, 寛解維持