セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(潰瘍性大腸炎2)

タイトル 消P-453:

VDZの日本人UC患者を対象とした第I相多施設共同非盲検用量漸増反復投与試験

演者 小林 清典(北里大東病院・消化器内科)
共同演者 鈴木 康夫(東邦大医療センター佐倉病院・消化器内科), 渡辺 憲治(大阪市立大・消化器内科), 迎 美幸(北里大東病院・消化器内科), 山田 哲弘(東邦大医療センター佐倉病院・消化器内科), 山上 博一(大阪市立大・消化器内科)
抄録 【目的】ヒトα4β7インテグリンに対するヒト化IgG1モノクローナル抗体であるvedolizumab(VDZ)について,日本人潰瘍性大腸炎(UC)患者での安全性,薬物動態(PK),薬理学的作用(PD)及び有効性を検討した.【方法】日本人UC患者に対し1,15及び43日目に150mg又は300mgのVDZが静脈内(IV)投与された.5-ASA,ステロイド及び免疫調節薬のいずれかを組入れ時に投与している患者は,治験期間を通して用量を変更しないこととした.安全性,PK,PD及び有効性を239日目まで評価した.【成績】150mg群3例,300mg群6例の計9例(男性7例/女性2例)が組み入れられた.年齢中央値は39.0歳(21-70歳),体重中央値は71.5kg(43.7-93.1kg),部分Mayoスコアは0-7であった.5-ASA,ステロイド及び免疫調節薬はそれぞれ100.0%,22.2%及び22.2%の患者で併用され,22.2%の患者は過去に抗TNFα抗体治療歴があった.全患者で投与を完了したが,うち1例は後観察期間中に重篤な有害事象(SAE;結腸異形成)のために治験を中止した.35件の有害事象(AE)が全9例の患者で認められ,鼻咽頭炎の頻度が最も高かった.投与中止に至る有害事象,投与時/投与部位反応は認められなかった.全てのAEは軽度又は中等度であった.SAEは2例2件(結腸異形成/イレウス)発現し,いずれもVDZと因果関係は否定できないと報告された.VDZのAUC及びCmaxは用量増加に応じて上昇した.抗VDZ抗体は300mg群の1例で,183,211及び239日目に認められた.いずれの用量でも初回投与直後にα4β7インテグリンの飽和作用が認められ,投与終了後の飽和作用の持続期間は用量増加に応じて長くなった.組入れ時に非寛解であった患者は2例あり,いずれも71日目に改善が認められた.【結論】日本人UC患者にVDZを1,15及び43日目にIV投与したところ,300mgまでの良好な忍容性が認められた.VDZの血清中濃度は用量増加に応じて上昇し,150mg及び300mgのいずれの用量でもα4β7インテグリンの飽和作用が認められた.
索引用語 潰瘍性大腸炎, インテグリン