セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(潰瘍性大腸炎2)

タイトル 消P-454:

当院における難治性潰瘍性大腸炎に対するTacrolimusの有用性

演者 渡辺 修(名古屋大大学院・消化器内科学)
共同演者 安藤 貴文(名古屋大大学院・消化器内科学), 石黒 和博(名古屋大大学院・消化器内科学), 前田 修(名古屋大大学院・消化器内科学), 氏原 正樹(名古屋大大学院・消化器内科学), 平山 裕(名古屋大大学院・消化器内科学), 森瀬 和宏(名古屋大大学院・消化器内科学), 前田 啓子(名古屋大大学院・消化器内科学), 松下 正伸(名古屋大大学院・消化器内科学), 舩坂 好平(名古屋大大学院・消化器内科学), 中村 正直(名古屋大大学院・消化器内科学), 宮原 良二(名古屋大大学院・消化器内科学), 大宮 直木(名古屋大大学院・消化器内科学), 後藤 秀実(名古屋大大学院・消化器内科学)
抄録 【目的】Tacrolimus (Tac)を難治性潰瘍性大腸炎(UC)患者に投与し,有効性を検討した.【方法】対象はUC40例(重症15例,中等症25例).治療効果はLitchigerのClinical activity index (CAI) を用い,投与後のCAIが4以下を寛解,投与前より5以上低下を有効とした.一部の症例に投与前と2週間後にS状結腸内視鏡検査(CS)を行い,潰瘍・易出血性・浮腫・膿性粘液・血管透見の有無とRachmilewitz の Endoscopic Indexを用い評価した.【成績】投与4週後,中等症25例中寛解14例,有効2例,無効8例,1例は浮遊感のため中止.重症15例は寛解9例,有効3例,無効3例,重症例のうち非経口摂取の11例では寛解9例,有効1例,無効1例,経口摂取の4例では寛解0例,有効2例,無効2例であり,非経口摂取例で寛解導入率が有意に高かった.4週後に寛解・有効となった28例は,3ヶ月後に24例が寛解,1例が有効,3例が悪化した.Prednisolone投与量はTac開始時には平均18.5 mg,3カ月後に2.1 mgと有意に低下した.CS施行の24例は,CAIの平均は投与前,4週後に11.0±2.6,4.0±2.3と有意に低下し,4週後に16例が寛解,3例が有効,5例が無効,EIの平均は投与前・2週後に8.7±1.7,4.6±2.1と有意に低下した.投与前の内視鏡所見と4週後の治療効果とは関連はなかったが,投与2週後に内視鏡で,膿性粘液の付着し,かつ血管透見が全く確認できない例は4週後に臨床的寛解にならなかった.長期経過は,6カ月以上Tacの投与を続け,Azathioprine (AZA)の非併用9例と併用12例では,AZA併用例で有意に累積非手術率が高値であった.【結論】Tac投与4週間後の有効率は70%以上,特に非経口摂取例で寛解導入率が高かった.また投与2週後の内視鏡で,膿性粘液の付着し,血管透見が全く確認できない例は4週後に臨床的寛解とならず,長期に投与する場合はAZAの併用で手術を回避できる可能性が示唆された.
索引用語 潰瘍性大腸炎, tacrolimus