セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(潰瘍性大腸炎3)

タイトル 消P-462:

潰瘍性大腸炎患者におけるdysplasiaの自然史と発癌

演者 米沢 麻利亜(東京女子医大・消化器病センター消化器内科)
共同演者 飯塚 文瑛(東京女子医大・消化器病センター消化器内科), 合阪 暁(東京女子医大・消化器病センター消化器内科), 伊藤 亜由美(東京女子医大・消化器病センター消化器内科), 高橋 麻依(東京女子医大・消化器病センター消化器内科), 大森 鉄平(東京女子医大・消化器病センター消化器内科), 白鳥 敬子(東京女子医大・消化器病センター消化器内科)
抄録 【目的】長期経過例の潰瘍性大腸炎(UC)には高率にdysplasia やcolitic cancerが合併するがdysplasiaの自然史については不明な点が多く治療方針に関しても一定した見解には至っていない.今回dysplasiaの自然史と癌化について検討した.【方法】当院において2005年7月から2012年5月の間にdysplasiaのUC-3が認められたUC20例を対象とした.症例の内訳は男性16例女性4例で,年齢は31~75 歳(平均50.1歳),病型は全大腸炎型19例,左側大腸炎型1例であり,罹病期間は4~29年 (平均15.4年)であった.UC-3を癌非発生群(A群14例)と癌発生群(B群6例)に群別化し,臨床像・内視鏡像の特徴とUC-3検出後の自然経過について比較検討した.【成績】臨床像は,平均年齢はA群52.8歳,B群43.8歳で,平均罹病期間はA群15.4年,B群15.5年であった.内視鏡像は,A群は丈の低い隆起性病変(32%)の他,平坦病変にも多く認められたが,B群は丈の低い隆起性病変(44.4%)が多く,平坦病変は少ない傾向にあった.又,隆起型症例の37.5%にcolitic cancerが発生したが,平坦型のみの症例には発生しなかった.表面拡大像は,A群は管状型pit 40%,脳回様pit 25%で,B群は管状型pit 60%,脳回様pit 30%であり,B群は管状型・脳回様pitが多い傾向にあった.転帰は,A群は2例に手術施行されたが共にcolitic cancerを認めなかった.10例は経過観察中であり,2例は転医した.A群の50%は経過中に病変が不明瞭になり,2回目以降の生検にてUC-3は検出されなかった.B群は5例は手術施行され,1例は遠隔転移が認められ化学療法を施行した.B群は2回目以降の生検でも毎回UC-3を認めており,初回検出からcolitic cancerを認めるまでの平均期間は14.2ヶ月(3ヶ月~3年9ヶ月)であった.【結論】UC-3検出後は頻回にsurveillance colonoscopyを行い,くり返し生検を施行することが重要であり,複数回検出される症例は手術を検討すべきである.UC-3の自然史は未だに不明な点も多く更なる検討が必要である.
索引用語 潰瘍性大腸炎, dysplasia