セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(潰瘍性大腸炎3)

タイトル 消P-463:

潰瘍性大腸炎の生検組織におけるFusobacteriumの感染状況と臨床像との関連

演者 田原 智満(藤田保健衛生大・消化管内科)
共同演者 柴田 知行(藤田保健衛生大・消化管内科), 大久保 正明(藤田保健衛生大・消化管内科), 河村 知彦(藤田保健衛生大・消化管内科), 市川 裕一朗(藤田保健衛生大・消化管内科), 石塚 隆充(藤田保健衛生大・消化管内科), 長坂 光夫(藤田保健衛生大・消化管内科), 中川 義仁(藤田保健衛生大・消化管内科), 平田 一郎(藤田保健衛生大・消化管内科)
抄録 背景・目的: Fusobacterium は腸管におけるノーマルフローラであるが,日和見病原体として腸管の炎症に寄与する可能性が示唆される.潰瘍性大腸炎 (UC) 患者の生検大腸粘膜のFusobacteriumを検索し,臨床像との関連につき検討した.対象・方法:152例のUC患者の炎症部位から得た163個の生検大腸粘膜を用いた.Fusobacterium nucleatum (F. nucleatum) 及び全Fusobacterium属 (Fuso. spp)をターゲットにしたリアルタイムPCRを検索に用いた.11例に関しては,健常部位の腸粘膜も検討に用いた.結果:まず64症例の大腸粘膜に関し,F. nucleatum,Fuso. spp を検討したところ,それぞれ6.3 % (4/64) ,53.1% (34/64)の頻度であったことより全症例に関し,Fuso. spp を検索した.全検体では54.6% (89/163) において,Fuso. sppが陽性であった.11例の健常部・炎症部のペア検体では9例においてFuso. sppの感染状態が一致していた.さらに,1年の経過観察がなされた8症例のうち,6症例でFuso. sppの感染状態が一致していた.Fuso. sppのDNA量は,初回発作型,再燃寛解型に比し,慢性持続型で有意に高く(p=0.03),入院回数(p=0.10),ステロイド依存(p=0.015),難治姓(p=0.01)とは逆相関しており,むしろマイルドな病型との関連が示唆された.陽性例におけるFuso. sppのDNA量の分布はおおむね正規分布しているが,正規分布より逸脱した10症例は非常に高いDNA量を示し,慢性持続型との有意な関連を示し(p=0.025),入院回数,ステロイド依存,難治姓とは逆相関していた.結論:FusobacteriumはUC患者の大腸粘膜で高頻度に検出され,UC患者の炎症の持続に関わっているが,むしろマイルドな病型との関連が示唆された.
索引用語 Fusobacterium, 潰瘍性大腸炎