セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(潰瘍性大腸炎4)

タイトル 消P-466:

潰瘍性大腸炎,クローン病関連腫瘍の臨床的検討

演者 松下 正伸(名古屋大・消化器内科)
共同演者 安藤 貴文(名古屋大・消化器内科), 石黒 和博(名古屋大・消化器内科), 前田 修(名古屋大・消化器内科), 渡辺 修(名古屋大・消化器内科), 氏原 正樹(名古屋大・消化器内科), 平山 裕(名古屋大・消化器内科), 森瀬 和宏(名古屋大・消化器内科), 前田 啓子(名古屋大・消化器内科), 舩坂 好平(名古屋大・消化器内科), 中村 正直(名古屋大・消化器内科), 宮原 良二(名古屋大・消化器内科), 大宮 直木(名古屋大・消化器内科), 後藤 秀実(名古屋大・消化器内科)
抄録 【目的】潰瘍性大腸炎(UC)関連大腸癌,クローン病(CD)関連小腸癌・大腸癌・痔瘻癌は,IBD患者の生命予後を規定する重要な因子である.そこで,IBD関連腫瘍の発見契機,サーベイランスの現状,予後などについて検討した.【対象と方法】UC関連大腸癌28例,CD関連の小腸癌2例と大腸癌及び痔瘻癌5例を対象とし,臨床像ついて検討した.【結果】UC関連腫瘍は,発癌時年齢49.3±14.4歳,UCの罹患期間16.5±10.0年.サーベイランス施行群(大腸内視鏡(CS)検査間隔18か月未満)12例,サーベイランス非施行群(同18か月以上)16例.Stage0,I症例の肉眼型はIIa:9病変,IIa+IIc:2病変,IIc:1病変.ピットパターンはIIIs:2病変,IV:3病変,Vi:4病変.進行度は,サーベイランス施行群はStage0:42%,I:42%,II:8% ,III:8%,IV:0%で癌死亡率8%,サーベイランス非施行群ではStage0:12%,I:6%,II:18%,III:25%,IV:38%で癌死亡率63%で,サーベイランス非施行群に進行度,死亡率が高い傾向がみられた.非施行の理由には,患者のCSへの忌避感,UC未指摘が挙げられていた.一方CD関連腫瘍は,発癌時年齢53.0±6.2歳,CDの罹患期間16.9±7.2年.CDに対するサーベイランスは定立されておらず,診断契機は症状悪化6例,不定期検査が1例であった.大腸癌(直腸,肛門管癌)及び痔瘻癌5例は内視鏡下生検,肛門診察時生検により診断された.しかし,小腸癌(空腸癌)2例は小腸内視鏡による診断は困難で,外科手術により診断がなされていた.CDではStageIVが7例中4例で,癌により5例が死亡した.【結語】UCにおいては,サーベイランスの期間遵守により腫瘍の早期発見,死亡率の抑制が可能となっており,今後は発見率や期間遵守率の向上が重要と考えられる.一方CD関連腫瘍においては,現状では進行例での発見が多いため,今後は各種modalityを組み合わせたサーベイランスの確立が望まれる.
索引用語 潰瘍性大腸炎, 大腸癌