セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(潰瘍性大腸炎4)

タイトル 消P-467:

シクロスポリン持続静注療法を施行した重症潰瘍性大腸炎患者の長期予後予測式の策定

演者 勝野 達郎(千葉大・消化器内科)
共同演者 齊藤 景子(千葉大・消化器内科), 中川 倫夫(千葉大・消化器内科), 佐塚 小百合(千葉大・消化器内科), 新井 誠人(千葉大・消化器内科), 松村 倫明(千葉大・消化器内科), 丸岡 大介(千葉大・消化器内科), 坪井 優(千葉大・消化器内科), 峯村 荘子(千葉大・消化器内科), 小山田 新(千葉大・消化器内科), 横須賀 收(千葉大・消化器内科)
抄録 【目的】我々はシクロスポリン持続静注療法(CYA)を施行した重症潰瘍性大腸炎(UC)患者の短期予後予測式(endpoint:3ヶ月以内の手術)を初めて報告した(APT 2012).しかし,長期予後予測式は未だ知られていない.【方法】対象は2004年10月から2011年3月まで当院にてCYAを施行した重症UC患者(Lichtiger score≧10)52症例のうち,3ヶ月以内に手術を施行されず2年間以上長期観察できた症例.endpointは,観察中に手術・カルシニューリン阻害薬・抗TNFα抗体製剤のいずれかが施行された場合.臨床的背景・血液データの変化など百余項目を数値化し,多重ジスティック回帰分析を施行.【成績】35症例(男性15名,CYA施行時年齢34歳)を長期観察できた(平均145ヶ月).観察中に上記のendpointに至った症例は16例,endpointまでの平均観察期間は40.8ヶ月であった.既報の如く[チオプリン製剤不使用]が上記endpointを予測する独立した因子として抽出され(オッズ比5.1,95%CI:1.3-24.7,p=0.02),時間情報を加味しても有意であった(Kaplan-Meier法ログランク検定p=0.01,Cox比例ハザード比3.8,95%CI:1.3-13.7,p=0.01).しかし,長期予後を予測する別の独立した因子として白血球数(WBC,×103/μl)および血小板数(Plt,×104/μl)の変化が抽出された.すなわち,CYA施行開始日をday1とした場合,回帰式[-5.8-1.0×ΔWBC(day3-day1)+0.8×WBC(day14)+0.2×ΔPlt(day14-day1)<0]を満たす症例では有意に上記endpointが予測され(p<0.001,AUC=0.95,現時点での正診率89%),時間情報を加味しても有意であった(ログランク検定p<0.001,比例ハザード比25.3,95%CI:5.1-460,p<0.001).【結論】CYA施行に伴うday14までの臨床データ変動の態度が,その後の長期予後と強く相関していることが明らかになり,clinical decision-makingに有用であると思われた.
索引用語 重症潰瘍性大腸炎, 長期予後