セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(潰瘍性大腸炎4)

タイトル 消P-470:

当院における潰瘍性大腸炎手術症例の検討

演者 桂田 武彦(北海道大・消化器内科)
共同演者 小林 和夏(北海道大・消化器内科), 坂本 直哉(北海道大・消化器内科), 間部 克裕(北海道大病院・光学医療診療部), 武田 宏司(北海道大・薬学部臨床病態解析学), 高橋 典彦(北海道大大学院・消化器外科学分野I), 崎浜 秀康(北海道大大学院・消化器外科学分野I), 本間 重紀(北海道大大学院・消化器外科学分野I), 下國 達志(北海道大大学院・消化器外科学分野I), 皆川 のぞみ(北海道大大学院・消化器外科学分野I)
抄録 【目的】近年潰瘍性大腸炎の内科治療は進歩が著しく,難治例でも手術回避可能な症例が出てきた.一方で,腹腔鏡手術の進歩も進んでおり,潰瘍性大腸炎に対しても侵襲の少ない手術が可能になってきており,手術に踏み切るタイミングについて考え方が少し変わってきているように思われる.近年の当院での潰瘍性大腸炎手術症例についての傾向について調査した.【方法】2001年1月から2013年3月までの期間に当院で手術を受けた潰瘍性大腸炎患者9例について手術となった理由,手術までの罹病期間,術前までの治療内容,術後の経過について後方視的に検討した.【結果】手術症例9例のうち,急性増悪により手術した例は3例,慢性持続あるいは頻回の再燃により内科治療限界と判断した例は4例,薬の副作用,感染合併により手術適応とした例が1例,colitic cancerが1例であった.手術は全例単孔式腹腔鏡下手術が行われた.発症から手術までの期間は平均70.7ヶ月(2.0~230.9)であり,急性増悪例は平均10.5ヶ月と罹病期間が短く,慢性持続・再燃頻回例は平均74.8ヶ月と罹病期間が長かった.colitic cancer例は230.9ヶ月と最も罹病期間が長かった.術前治療は5ASAのみ1例,アザチオプリンのみ1例,タクロリムス3例,インフリキシマブ4例で,特に決まった傾向は見られなかった.術後経過は全例良好であるが,手術から間もない症例が多いため,ストーマ閉鎖まで終了した例は1例に留まった.【結論】当院の少ない症例では結論は出ないが,内科治療は進歩したものの急性増悪例では発症後短期間で手術に至っている症例もあり,内科で粘り過ぎず適切なタイミングで手術をすべき症例があると考えられた.また,単孔式腹腔鏡下手術のような侵襲の少ない術式を用いることで,慢性持続型などの治療に難渋している症例も積極的な手術適応になると考えられる.
索引用語 潰瘍性大腸炎, 腹腔鏡手術