セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(潰瘍性大腸炎5)

タイトル 消P-472:

難治性潰瘍性大腸炎に対するタクロリムスによる寛解導入とその後の維持療法の検討

演者 久野 徹(山梨県立中央病院・消化器内科)
共同演者 小嶋 裕一郎(山梨県立中央病院・消化器内科), 石田 泰章(山梨県立中央病院・消化器内科), 川上 智(山梨県立中央病院・消化器内科), 深澤 佳満(山梨県立中央病院・消化器内科), 岩本 史光(山梨県立中央病院・消化器内科), 廣瀬 純穂(山梨県立中央病院・消化器内科), 細田 健司(山梨県立中央病院・消化器内科), 鈴木 洋司(山梨県立中央病院・消化器内科), 望月 仁(山梨県立中央病院・消化器内科), 小俣 政男(山梨県立中央病院・消化器内科DELIMITER東京大)
抄録 背景 2009年7月より難治性の活動期潰瘍性大腸炎に対しタクロリムスが保険適応となった.タクロリムスの難治性潰瘍性大腸炎に対する寛解導入効果は報告されているものの,寛解導入後の再燃予防に関しては追加治療が必要な症例が多く,また寛解維持については保険適応となっていない.目的 タクロリムスによる寛解導入ならびに寛解導入後の経過につき検討する.方法: 当科でタクロリムスを使用した11例,男性7例,女性4例,年齢:26から72歳,中央値42歳を対象に検討した.従来の治療法(ステロイド依存例6例,ステロイド不応例5例)で十分な治療効果が得られない場合にタクロリムスを使用した.前治療は副作用にて5-ASA製剤が投与困難な1例と,免疫調節剤が投与困難な2例を除き,5-ASA製剤と免疫調節剤の併用であった.成績 全11例のうちタクロリムス導入により臨床的寛解を認めたのは10例であった.寛解後,タクロリムス中止し追加治療なく寛解を維持できているのは2例のみであった.また,タクロリムス継続投与にて寛解を維持している症例が3例あった.一方,タクロリムス中止により再燃しインフリキシマブ導入をしたのが4例であり,いずれも寛解が得られた.タクロリムスにて改善を認めなかったのは1例であり,インフリキシマブ導入し臨床的寛解が得られた.全11例にてCAIスコアの平均はタクロリムス導入によって,導入前11.5→導入後4.5と有意差を持って減少しており,タクロリムスは潰瘍性大腸炎の寛解導入に効果的であることが示唆された.結論 タクロリムスは寛解導入に有効であるが,中止により悪化する症例が多い.その症例の中で,タクロリムスを継続投与することで寛解維持ができる症例があり,タクロリムスによる維持投与やインフリキシマブ投与を検討する必要があると考えられる.
索引用語 潰瘍性大腸炎, タクロリムス