セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(潰瘍性大腸炎5)

タイトル 消P-473:

当院での炎症性腸疾患における5-ASA製剤不耐症例の検討

演者 馬場 重樹(滋賀医大・消化器内科)
共同演者 安藤 朗(滋賀医大大学院・感染応答・免疫調節部門(消化器免疫)), 伴 宏充(滋賀医大・消化器内科), 望月 洋介(滋賀医大附属病院・光学医療診療部), 今枝 広丞(滋賀医大・消化器内科), 塩谷 淳(滋賀医大・消化器内科), 稲富 理(滋賀医大・消化器内科), 齋藤 康晴(滋賀医大附属病院・光学医療診療部), 辻川 知之(滋賀医大・総合内科), 佐々木 雅也(滋賀医大附属病院・栄養治療部), 藤山 佳秀(滋賀医大・消化器内科)
抄録 【目的】5-ASA製剤は潰瘍性大腸炎やクローン病の基準薬と位置付けられ,寛解導入療法や寛解維持療法に用いられる.しかしながらまれに下痢・血便や発熱などの重篤な副作用を経験する.今回,我々は当院通院中の患者のうち5-ASA製剤の副作用で継続投与が不可能であった症例を抽出し,その症例の特徴などについて検討を加えた.【方法】2012年1月から2012年12月までの期間に通院歴のある炎症性腸疾患患者600例(潰瘍性大腸炎431例,クローン病169例)のうち,5-ASA製剤の過敏症が疑われた症例21例(男性16例,女性5例,潰瘍性大腸炎17例,クローン病4例,平均年齢31.2歳)について症状や5-ASA製剤投与後から発症までの期間などについて検討を加えた.【成績】使用薬剤はサラゾピリン2例,ペンタサ13例,アサコール5例であった.5-ASA不耐で最も多い症例は発熱・下痢の8例,次に肝機能障害の6例,腎機能障害2例,膵炎2例,皮疹,好酸球性肺炎,再生不良性貧血をそれぞれ1例に認めた.投薬から発症までの期間は発熱・下痢で平均13.1日,肝機能障害の平均95.2日と比較すると短期間で症状の発現を認めた.また,発熱・下痢を来す症例では,薬剤中止後速やかに症状の軽快を認めた.【結論】5-ASA不耐は多彩な症状を来すが,特に発熱・下痢は潰瘍性大腸炎の症状と類似しており,常に念頭に置いて5-ASA製剤の投薬を開始する必要がある.投薬後に急激に便回数の増加を来す症例や内視鏡所見と合致しないような発熱を来す場合は一旦5-ASA製剤を中止し,経過を見る必要があると考えられる.
索引用語 5-ASA不耐, 炎症性腸疾患