セッション情報 |
ポスターセッション(消化器病学会)
大腸(潰瘍性大腸炎5)
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タイトル |
消P-475:経口タクロリムスによる難治性潰瘍性大腸炎の長期予後
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演者 |
山口 明香(昭和大・消化器内科) |
共同演者 |
竹内 義明(昭和大・消化器内科), 新井 勝人(昭和大・消化器内科), 大石 千歳(昭和大・消化器内科), 吉田 仁(昭和大・消化器内科) |
抄録 |
目的:経口タクロリムス(FK)が潰瘍性大腸炎治療に導入され,その短期的有用性が明らかにされているが,長期の治療成績は十分検討されていない.本研究の目的は,FKによる長期治療成績を明らかにすることである.方法:FKにて寛解導入を試み,かつ52週以上の経過観察が可能であったステロイド抵抗性,依存性の潰瘍性大腸炎23例を後ろ向きに解析した.疾患活動性はClinical Activity Index(CAI)を用い,4以下を臨床的寛解と定義した.FKは0.05mg/kgから開始し,高トラフを2週間維持したのち低トラフとした.投与は必要に応じて12週間を超えて投与した.主要評価項目は52週目の臨床的寛解率および手術率とし,その関連因子(年齢,性別,喫煙歴,罹病期間,病型,重症度,腸管外症状,総ステロイド量,ANCA陽性,免疫調節薬使用)を副次的評価項目として探索した.解析はt検定,マンホイットニーU検定,カイ二乗検定で群間を比較し,ロジスティック解析で多変量解析を行った.成績:平均年齢は39歳,女性は7名で平均観察期間は19か月である.1例を除く全例が全大腸炎型,13例がステロイド抵抗例,10例が依存例であった.病型は寛解再燃型が8例,初回発作型が4例,慢性持続型が11例である.4例は副作用などの理由で12週間の治療を完結できなかった.52週目での臨床的寛解は11例(49%)で得られ,累積手術率は2例(9%)であった.寛解の関連因子は,病型(初回発作型および再燃寛解型)(P=0.01),治療への初期反応(P=0.03)であった.副作用として全例に低マグネシウム血症を認めたが,治療は不要であった.1例に帯状疱疹がみとめられた.結論:FKにより49%で一年後の臨床的寛解が得られ,初期治療反応,病型がその関連因子であった.一年後の手術率は9%であった. |
索引用語 |
潰瘍性大腸炎, タクロリムス |